日本アイ・ビー・エム(E-112)は、「情報を経営に活かす最先端ソリューション」をテーマに、「CIS-MR 電子カルテシステムソリューション」、「CIS-Order」(オーダーシステムソリューション)、「CIS-Image」(画像システム)、「CIS-Nurse」(看護支援システムソリューション)といった院内情報システムのラインナップのほか、経営の視点から情報を分析するためのソリューションなどを多数展示する。
●部門単位のデータを集積し、経営的視点から分析する「Cognos / Convergence CT」
「医療業界は『IT化』『電子化』が声高に叫ばれているが、IBMでは、それは昨年までのことで、今の状況は、『電子化』は、かなりすすんでいるという認識にある。それよりも、電子化で蓄積されたさまざまなデータが、まだ優良な経営のために有効活用されていないことに問題があると捉えている。今回は、こと400床以上の中~大規模病院にフォーカスし、ずばり言えば『病院の黒字化を支援するための最先端ソリューション』を提案する。経営・診療データを分析して、健全経営に直結する経営的視点に沿ったソリューションを前面に出していきたい」。同社公共事業 マーケティング・ビジネス開発 課長の小林俊夫氏は、他のベンダーとの出展内容の違いをこう強調する。では、主だった出展製品・ソリューションを紹介しよう。
医療機関向けデータウエアハウス構築システム「Cognos / Convergence CT」は、米国のビジネスパートナー「Convergence CT Inc.」が提供するソリューション。病院内の各部門単位で保管されたデジタルデータを収集し、米国HIPAA(米国における医療情報の標準化、安全保護、プライバシー保護を目的としたガイドライン)に準拠した、統合された診療データウエアハウスの構築を可能にするという。
医療機関の経営者や臨床研究者等のユーザーは、各部門から収集・統合した診療データウエアハウスを使用することで、多様多用な患者データをさまざまな角度から抽出でき、いろいろな用途に活用できるようになる。導入効果としては、患者の安全性やケア水準のチェック、医療動向分析の効率化、薬剤など医療資源使用の最適化――などの効果が期待できるという。「部門単位のさまざまなデータを集積・統合し、そのデータを経営的な観点から分析できるのが特長」(小林氏)という。

「Convergence CT」分析結果の一例。ある疾病でコントロールが必要な検査値の結果(縦軸:患者数、横軸:検査値)を医師別、所属組織別、グループ全体別にヒストグラム化して表示する
●膨大な医用画像データをセキュアに共有・保管するソリューションも
データマイニングソリューション「DB2 Intelligent Miner」は、IBMのリレーショナルデータベース管理システム「DB2」の拡張機能として、データマイニングを業務システムに組み入れることで、CRM(Customer Relationship Management:顧客管理)などの領域で新しいビジネスチャンスを発見したり、リスクを回避したりするソリューションを構築できるという。たとえば、新たなビジネス展開のロードマップを仮説的に証明することや、ビジネスの意思決定を支援するためのツールとして活用できる。
インターネットセキュリティーシステム「ISS」は、厚生労働省が2008年3月に改正した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第3版)」で、一定のセキュリティ保全ルールをクリアするなどの条件付きで民間のデータセンターなどに医療情報を保管できるようになったことを受け、情報セキュリティの確保とビジネスの継続性・可用性の両立をはかるための包括的で精密な「事前防御型セキュリティ」を提供する。米IBMが2006年8月に買収した米国「Internet Security Systems(ISS)」が提供していた、世界各所のセキュリティセンターでインターネット上のセキュリティを監視、プロアクティブに対応できるセキュリティサービスを医療機関向けに提供するもの。「Winny(ウィニー)などのP2P(ピア・ツー・ピア)ファイル共有ソフト特有のデータパターンまでも検知する、世界最高レベルの技術。ネットワーク側で高度なセキュリティ機能を備えることで、ユーザー側の設定の手間が省けるなどの利点を持つ」(小林氏)という。

「Intelligent Miner」製品群の連携図
「グリッド・ストレージ・ソリューション」は、レントゲンやCT(コンピュータ断層撮影)による医用画像など、大規模病院では大容量・高精細化によって膨大となるデータを低コストで記録・保管するソリューション。医療機関側でサーバーを導入・維持して参照用の膨大な医用画像データを保管する場合、初期投資のほか保守などの維持コストがかかる。グリッド・ストレージ・ソリューションでは、病院側のニーズに応じて、複製方法やアーカイブ方法、情報ライフサイクル管理、災害対策(バックアップ・リカバリー)が重視されたシステムに格納する、などの特長を有しながら、低価格で提供する。複数拠点間からデータを共有・参照できるなど、地域医療連携システムのニーズにも応える。「『ISS』と『グリッド・ストレージ・ソリューション』を連携した利用によって、より強固なセキュリティと有用性を備えたデータ保管システムが構築できる」(小林氏)としている。(井関 清経)

グリッド・ストレージ・ソリューション導入イメージ
<日本アイ・ビー・エムの出展品目>
●CISソリューション
CIS-MR 電子カルテシステムソリューション(IBM)
CIS-Order オーダーシステムソリューション(IBM)
CIS-Nurse 看護支援システムソリューション(IBM)
CIS-Image 画像システム(IBM)
●Cognos/Convergence CT
Cognos/Convergence CT 経営・診療データ分析ソリューション(IBM/ConvergenceCT)
●DB2 Intelligent Miner
データマイニングソリューション(IBM)
●ISS
事前防御型セキュリティー(IBM)
●Grid Storage Solution
グリッド・ストレージ・ソリューション(IBM)
●iStudy
Web型院内研修ソリューション(システム・テクノロジー・アイ)
●CoMedix / ファントルくん
医療グループウェア・インシデントレポートシステム(メディシステムソリューション)
●Medical Ledaer-Account
医事会計システム(ナイス)
●Medical Vision
医療プラットフォーム「JBCC Medical Vision」(日本ビジネスコンピューター)
■リンク
・日本アイ・ビー・エムの出展案内Webページ
・日本アイ・ビー・エム「ヘルスケア / ライフサイエンス」のWebサイト
■日本アイ・ビー・エム(米IBM含む)に関連する「医療とIT」掲載記事
・事例研究:東邦大学医療センター 佐倉病院
・IBM、3次元分身技術を利用する5年後の医療IT像を提示
・IBMとMayo Clinic、医療画像の研究センターを設立