
医学部内科学第二講座助教の浜野英明氏
坂田氏は、新しい外来棟に設置した端末が非常用電源系にどの程度の負荷をかけているかの調査に、このリモート操作による電源オン/オフの機能を利用したという。外来診療端末の稼働状況は休診外来もあるため、最大の電力消費を把握しにくい。そこで、瞬快で設定して一斉に全端末の電源を入れ、電力消費を計測したものだ。従来なら、こうした検証を行うためには、人手を駆使して一斉に電源を投入しなければできなかったことだ。
また、船田氏は、障害発生時にリモート操作でメンテナンスする機能も管理工数の削減、あるいは復旧時間の短縮に寄与できると期待している。医療情報部の管理端末上で各医療情報端末の画面を表示して利用状況を把握できるほか、リモートでトラブルを解決できる上、インテルvProテクノロジーではOSがハングアップした状態であってもリモートメンテナンスが可能だ。「外来診療で患者さんが診察室にいる場合、診察室内にシステム担当者が入ることは、好ましいことではありません。リモートで障害が復旧できれば、現場に行く手間や時間をなくすことができるメリットもあります。また、リモートの場合、医療情報部にいる複数の担当者で画面を見ながら、最適な解決方法を探ることができます」(船田氏)と指摘する。
実際に外来診察室で診療端末を使っている医学部内科学第二講座助教の浜野英明氏も、「以前は端末が故障すると患者さんともども空いている診察室に移動し、その間に来てもらって回復を待たなければなりませんでした。リモートで修復できるなら、復旧までの時間が短くなると期待しています」とリモートメンテナンスを評価している。
●セキュリティ機能は今後の検証課題

1000台を超える各端末の稼働状況管理画面
新システムが本稼働してまだ2カ月強。坂田氏、船田氏とも、インテルvProテクノロジーと瞬快を利用した運用管理機能のすべてを活用できてはいないという。「実際のどのような運用場面で、管理工数の削減や安定稼動においてさらにメリットを引き出せるのか探っている段階」という。その中でインテルvProテクノロジーのハードウエアベースのセキュリティ機能についても今後の検証課題と位置づけている。「トラフィックフィルタリングが、ワームなどの脅威トラフィックを実際にどのくらい識別できるのか、遮断できるのか、期待できる効果が得られるのかについて検証していきたい」(船田氏)。病院情報システムという閉鎖系のネットワークでも、外部からの脅威は避けられない。本来、「招かざる客」というべきワームなどの内部感染の脅威拡大を防止できるハードウエアベースのセキュリティ機能への期待は、限りなく大きい。
●診療・看護業務を変革した新病院情報システム
「以前の診察室は古くて狭いことに加え、各診察室がきちんとセパレートされていなかったため、スピーカから流れる他の診察室の呼び込み声がうるさく、患者さんとの会話を中断しなければならないほどでした。」(内科学科第二講座 助教 浜野英明氏)。 新しい患者呼び込み方法は、各階の外来受付に大型ディスプレーを設置し、診察室・担当医師別に患者受付番号と診察進行状況を表示。同時にチャイムと番号表示で診察室へ誘導する。 一方、電子カルテシステムがHOPE/EGMAIN-GXに変わったことにより、病棟業務にも変化をもたらした。看護師のワークフローを経過表中心に考え、指示受け、指示確認、実施入力、日々の記録が可能になった。経過表ひとつで実施~記録まですべての看護プロセスに対応でき、必要な情報をすぐに参照できるようになったという。 「経過表から患者さんの状態を把握するのが容易になりました。患者さんごとにオーダや指示の情報収集が早くなり、医師と看護師の情報共有が緻密にできるようになったと感じています」。看護部副看護師長の太田まさえ氏(右写真)は、新しい電子カルテシステムによる病棟業務の変化をこう指摘する。 |

■病院概要
名称:信州大学医学部附属病院
住所:長野県松本市旭3-1-1
病床数:700床
Webサイト:http://wwwhp.md.shinshu-u.ac.jp/