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特集 インフルエンザ 2007/2008

【学会トピックス】
予定入院患者の検温・問診でインフルエンザの持ち込みを防ぐ

表1 病院内のインフルエンザ発生状況(横浜市立大附属病院)

 入院時に検温問診によるスクリーニングを行うことで、インフルエンザが院内に持ち込まれるのを防ぐ試みが効果をあげている。2月に長崎で開催された日本環境感染学会で、横浜市立大附属病院の岡崎悦子氏が成果を報告した。

 同病院では感染防御部が中心になって、インフルエンザ対策に取り組んできた。その中で、入院予定患者が院内におけるインフルエンザ伝播の初発者になりうるという課題が浮上し、その対策が急務となった。

 たとえば、2004/2005シーズンでは、14人の患者がインフルエンザを発症したが、うち7例は院外から持ち込まれていた。2005/2006シーズンも19人の患者が発症し、うち7例は院外から持ち込まれたものだった(表1参照)。

 このため、入院当日の医師の診察の前に、入退院窓口で検温と問診によるスクリーニングを行い、インフルエンザの疑いがある患者を把握する対策をとった。疑いのある患者については、入院診療科の医師による詳細な問診、診察を行い、インフルエンザ迅速抗原検査を実施した。インフルエンザと診断された場合には入院を延期し、インフルエンザの院内持ち込みを防ぐことにした。

 検温では非接触型赤外線体温計(商品名;サーモフォーカス)を用い、また問診では「入院患者自身の感冒様症状の有無」と「入院3日以内の同居家族のインフルエンザの診断の有無」を尋ねた。

 検温で37.5℃以上か、あるいは問診で感冒様症状があると回答した患者は、インフルエンザの疑いがあるとし、入院診療科の医師による詳細な問診、診察を受けてもらった。また、入院3日以内に同居家族にインフルエンザと診断された人がいる患者にも、同様に対処した。 

 2006/2007シーズンから、こうした対策に取り組んでいるが、2007年1~5月の間に、スクリーニングの結果、127人が入院診療科の医師による詳細な診察を受け、最終的に4人がインフルエンザと診断され、入院延期となった。

 入院延期となった患者については、インフルエンザの治療を行った上で、経過を見ながら新たな入院日を検討しているという。また、インフルエンザと診断されなかった患者の中には、発症前の症例が含まれている可能性があるため、その情報を入院病棟の担当者に伝えることで、院内サーベイランスの重点的な対象とし、注意深く見守るようにしているという。

 こうした取り組みの結果、2006/2007シーズンには、11人の患者がインフルエンザを発症したが院外由来は4例に過ぎなかった(表1)。

 課題としては、問診による感冒様症状の有無を重視するとスクリーニングで把握される患者の数が多くなる可能性があることや検温の結果の誤差などが挙がっている。感染防御部としては、こうした課題を解決しながら、今後とも持ち込み防止策の充実を図っていく意向だ。

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