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特集 インフルエンザ 2007/2008

【専門家に聞く】No.8
吸入薬ザナミビルの装填・吸入、患者の8割超は「易しい」
日本臨床内科医会 岩城紀男氏

岩城 調査には329人の患者さんに協力していただきました。患者背景(表1)は、男女比1:1、年齢20.5±15.2歳、15歳以下の小児が57.1%、16歳以上の成人が41.6%でした。65歳以上の高齢者は1.2%でした。

 低年齢の小児も少なくありませんでしたが、その場合は本人だけでなく、保護者の方にも、装填操作や吸入方法の説明をしています。

表1 患者背景(岩城氏ら、臨床研究84巻11号、143-147、2007)

-- 結構たくさんの方が協力しています。

岩城 調査では、吸入器への装填操作と吸入操作を、それぞれだれが行ったかを尋ねています。その結果、15歳以下の小児(n=188)では本人が43.1%、保護者が56.9%でした。一方、16歳以上の成人あるいは高齢者では、本人が96.5%と圧倒的に多く、保護者は3.5%に過ぎませんでした(図4のa)。

図4 吸入器への装填操作と吸入操作を行った人(岩城氏ら、臨床研究84巻11号、143-147、2007)

-- 小児についてはもう少し詳しく分析されています。

岩城 装填あるいは吸入が何歳から可能なのかは、重要なテーマです。そこで今回の調査では、4~5歳、6~7歳、8~9歳、10~11歳、12~13歳、14~15歳と各層に分けて調べました。その結果、4~7歳では、ほぼ全例で保護者が装填と吸入操作を行っていました。これが8~13歳と年齢が高くなるごとに、患者本人が行う割合が増えています。そして14~15歳ではほぼ全例で本人が行うようになっています(図4のb)。この結果は、小児では、特に低年齢の場合、保護者への説明が大切であることを教えています。

-- 調査では、実際に操作した保護者(n=112)と本人(n=217)に分けて、実際の操作をどのように感じたのか尋ねています。

岩城 難易性について患者の評価を尋ねました。その結果、装填操作については、保護者の83.0%、本人の88.9%が「易しい」と回答しました(図5のa)。吸入操作の方は、保護者の78.6%、本人の84.8%が「易しい」と評価していました(図5のb)。

図5 装填操作あるいは吸入の難易性(保護者;n=112、本人;n=217。岩城氏ら、臨床研究84巻11号、143-147、2007)

-- 装填操作が「難しい」と感じた人は5%未満(図5のa)で、吸入操作が「難しい」と回答した人は、保護者が9.8%、本人が4.1%でした(図5のb)。

岩城 この成績は、医師や医療従事者が抱きがちな「装填や吸入の操作が煩雑」という危惧とはまったく異なるものでした。つまり、実際に吸入薬を使ってみると、それほど使いにくいということはなかったわけです。

-- 15歳以下の小児については、患者の年齢別でも分析されています。

岩城 図6がその結果です。実際に操作した人(保護者あるいは本人)に吸入の難易性を尋ねたところ、8歳以上は「難しい」と回答したのは5%以下でした。しかし7歳以下では、13~19%が「難しい」と回答していました。7歳以下では、患児に「吸う」という行為をよく理解してもらう必要があると思います。「吸う前に息を吐き出して、それから吸い込む」という一連の行為を、保護者の方によく説明することが重要です。

図6 小児の年齢別に見た吸入の難易性(岩城氏ら、臨床研究84巻11号、143-147、2007)

-- 調査では、次回も吸入薬を希望するかどうか尋ねています。

岩城 実際に吸入薬を使った人に尋ねていますので多少のバイアスは否めませんが、次にインフルエンザに感染したときに吸入薬を希望するかどうかを尋ねたところでは、「希望する」との回答が60%を超えていました(図7)。「処方して欲しくない」は、小児(15歳以下)で1.6%、15歳以上の成人あるいは高齢者で4.3%に過ぎませんでした。

図7 次回感染時にも吸入薬を希望するか(岩城氏ら、臨床研究84巻11号、143-147、2007)

-- 最近、欧州の調査で、オセルタミビルに耐性の季節性インフルエンザウイルスが広がっていることが報告されました。

岩城 耐性ウイルスの出現は非常に大きな問題です。臨床的に複数の選択肢(抗インフルエンザ薬)を持っておくことは重要ですから、今後、吸入薬の重要性は高まっていくと思います。今回の調査で、「装填や吸入の操作が煩雑」という危惧が誤解に基づくものであることが分かったわけですから、なおさらです。


■参考文献
1)Cass,L.M.et al.: Pharmacokinetics of Zanamivir After Intravenous,Oral,Inhales or Intranasal Administration to Healthy Volunteers.Clin Pharmacokinet.36 (Suppl1):1‐11,1999.
2)Silagy,C.et al.: Zanamivir,a new targeted therapy in the treatment of influenza.A patient perspective assessed by questionnaire.Clin Drug Invest,19:111,2000.
3)Johnson,R.et al.: Zanamivir for the treatment of clinically diagnosed influenza in clinical practice.Results of the valuable-insights-from-patients study.Clin Drug Invest,20:327,2000.
4)松本慶蔵ほか: ザナミビル治療に対する患者からの評価-2000/2001年インフルエンザシーズンにザナミビルを処方されたインフルエンザ患者調査-.感染症誌,75:800‐807,2001.
5)松本慶蔵ほか: ザナミビル治療に対する患者からの評価(第2報)-2001/2002年インフルエンザシーズンにザナミビルを処方されたインフルエンザ患者調査-.感染症誌,76:1016‐1024,2002.

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