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特集 インフルエンザ 2007/2008

【専門家に聞く】No.8
吸入薬ザナミビルの装填・吸入、患者の8割超は「易しい」
日本臨床内科医会 岩城紀男氏

 吸入薬ザナミビルは、ウイルス増殖部位である気道粘膜に直接的に作用するため、全身への影響が少なく、耐性ウイルスも出現しにくいと考えられている。しかし、「吸入器の操作や吸入方法が煩雑という誤解があり、経口薬に比べて使用が少ないのが現状」(日本臨床内科医会の岩城紀男氏、写真)という。岩城氏らは、吸入薬の装填・吸入の実際を明らかにするため、患者を対象に実態調査を実施。その結果、装填・吸入の操作について、8割超の人は「易しい」と感じていることが分かった。「操作が煩雑という指摘は、実際と異なることが明白になった。経口薬の耐性化の問題もあるので、今後は吸入薬の使用を積極的に検討すべきだ」(岩城氏)。

-- 先生方は、「吸入薬ザナミビルの患者使用実態調査」(臨床研究84巻11号、143-147、2007)を発表されました。そもそも、この調査の目的は何だったのでしょうか。

岩城 抗インフルエンザ薬には、オセルタミビルとザナミビルがあります。どちらもノイラミニダーゼ阻害薬ですが、前者は経口薬、後者は吸入薬です。両薬とも有益な薬なのですが、日本では経口薬に比べて吸入薬の使用が少ないのが現実です。吸入薬は、ウイルス増殖部位である気道粘膜に直接的に作用するため、全身への影響が少なく(1)、耐性ウイルスも出現しにくいという利点があるにもかかわらずなのです。その大きな理由に、吸入薬の方は、「吸入器の操作や吸入方法が煩雑で難しい」と考えられがちな面があります。実際の臨床の現場では、決して煩雑であるという印象はないのですが・・・。そこで、実際に吸入薬を処方された患者さんを対象に調査をして、吸入器の操作や吸入方法をどのように感じているのか明らかにしたかったのです。

-- 吸入薬の導入初期にも「患者の吸入薬使用実態調査」が行われていました(2-5)。海外や日本で実施されたものですが、吸入薬による治療に対する患者の満足度は高いことが報告されています。

岩城 確かにそうです。しかし、吸入薬の使い勝手について詳しく調査したものは、ほとんどなかったのです。

-- 調査の中身をうかがう前に、吸入薬の装填あるいは吸入方法についてご説明いただけませんか。

岩城 図1から図3をご覧ください。私が講演などでよく使っているものです。吸入薬ザナミビル(商品名;リレンザ)は、専用の吸入器であるディスクヘラー(図1、カバー、トレー、本体からなる)と薬剤を詰め込んでいるロータディスクで構成されています(図1)。

図1 吸入薬ザナミビルの全体像(岩城氏)

 吸入までの操作は2段階あります。はじめは「装填」です。図2がその手順を説明したものです。まずディスクヘラーのカバーを外します。次にトレーを引き出し、本体から取り外します。取り外したトレーに、ロータディスクをのせます。この際、ロータディスクの薬剤の入っているブリスターと呼ばれる部分をトレーの穴に合うようにのせます。そして本体に、ロータディスクをセットしたトレーを戻します。ここまでが装填の操作となります。

図2 吸入薬の装填手順(岩城氏)

-- いわれるほど煩雑という印象ではないですね。

岩城 装填が終わったら次は吸入です。図3に吸入の手順を示しました。まず、薬剤の詰まったブリスターに穴を開けます。本体のフタをあげて、止まるところまでしっかりと立てます。そして再びフタを閉じます。この段階で、フタの先についている針がブリスターにささり、穴が開くのです。

 あとは実際に吸い込むだけです。じょうずに吸入するコツは、「息を吐き出してから薬を吸い込む」という点です。図3の「2」と「3」の段階です。息を吐き出してから、吸入口をくわえて、薬を吸い込むのです。1回に2つのブリスターを使いますので、ここまでの操作をもう一度やることになります。

図3 吸入薬の吸入方法(岩城氏)

-- アレルギー薬などでは吸入が一般的になっています。それを考えると、吸入薬ザナミビルも、もっと使われてもいいと感じました。

岩城 私は、医師や医療関係者の間に「吸入器の操作や吸入方法が煩雑という誤解」があるのだと思います。実際には吸入薬の操作は難しくはないのです。今回の調査結果は、そのことを証明しています。

-- 論文をみますと、調査は2006/2007シーズンに、日本臨床内科医会Flu Study Groupの有志メンバーが参加して行われました。対象は、インフルエンザ抗原診断キットでA型インフルエンザまたはB型インフルエンザと確認され、ザナミビルを10mg1日2回、5日間の処方を受けた患者となっています。

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