図1 マスク装用のインフルエンザ予防効果(日本小児感染症学会での発表から)

 インフルエンザの予防策から外せないのはマスクの使用だ。しかし、臨床的な経験を根拠に、装用が推奨されあるいは指導されているのが現状で、その検証は十分とは言えない。このほど関西医科大学の久保伸夫氏、ユニチャームの石神まこと氏、五十嵐クリニックの五十嵐利一氏らのグループは、ある小学校を舞台に有効性を検討し、一定のインフルエンザ予防効果を確認した。昨年の日本小児感染症学会で報告した。 

 対象は、東京都荒川区立のある小学校に通う1〜6年。このうち保護者の同意を得られた254人を対象に、マスクの装用グループ(161人)と非装用グループ(93人)に分けて、インフルエンザの予防効果を検証した。マスクには、立体形状マスクを使用した。

 試験期間は2007年2月5日〜3月2日。この間、装用グループには、登下校時と清掃時にマスクを装着してもらった。授業に集中したいという理由から、授業中は対象外とした。

 試験期間中にインフルエンザを発症したのは13人で、そのうちマスク装用者は3人、非装用者は10人だった。全体の発症率は5.1%で、同年2月の荒川区内の学童のインフルエンザ発症率8.1%より低かった。

 マスク装用グループの発症率は1.9%だったのに対し、非装用グループでは10.8%となり、装用グループの方が有意にインフルエンザ発症率が低いという結果だった(p<0.05、図1)。

 試験期間が1カ月と短く、また2007年の流行期が3月にずれ込んでいたこともあって、「今回の試験だけで、マスクの装用に予防効果があると直ちに結論付けることはできない」(五十嵐氏)と慎重な見方もあるが、ある一定の効果が確認されたのは事実だ。

 マスク装用には、インフルエンザの飛沫感染だけでなく、自らの鼻を触ることが少なくなることから接触感染の予防も期待でき、また、マスク装用を機に、学童のうがいや手洗いの意識が高まったという副次的な効果も認められている。今後は、マスクの形状やその機能などの違いも含めた検証も必要となってこよう。