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特集 インフルエンザ 2007/2008

【学会トピックス】
危険な異常行動は男児に多く、抗インフルエンザ薬の有無に関わらず発生

表1 異常行動・言動の分類別にみた症例

 インフルエンザに伴って異常行動を呈した症例の特徴が明らかになった。2005/2006、2006/2007の2シーズンに把握された130例を分析したもので、危険な異常行動例は男児に多く、また抗インフルエンザ薬の使用の有無に関わらず異常行動が発生していることも分かった。第39回日本小児感染症学会で、日本小児科学会神奈川地方会感染症委員会の高橋協氏らが報告した。

 高橋氏らは2007年4月に、神奈川県内の小児科を標榜する62病院、372診療所を対象に調査を行った。19病院、187診療所から回答があり、過去2シーズンで異常行動の診療経験があった施設は12病院、99診療所と約半数に達した。調査では、異常行動が確認された症例の年齢、性別、インフルエンザ発症日、インフルエンザの型、ワクチン接種の有無、異常行動の発病日とその内容、異常行動発症前の使用薬剤などを明らかにした。最終的に12病院、38診療所から130例の詳細な報告があり、今回の解析の対象とした。

図1 男女別・年齢別の分布

 130例を異常行動・言動の分類(厚生労働省の横田研究班の基準)でみると、事故につながったり他人に危害を加えたりする可能性があるものは22例、幻視、幻覚、感覚の混乱は42例、うわごと、歌を歌う、無意味な動きは36例、おびえ、恐怖、怒る、泣き出す、笑う、無表情、無反応は17例だった(表1)。このほか、けいれん1例、髄膜炎1例、興奮5例があり、また6例は異常行動の詳細は不明だった。

 調査結果で特徴的だったのは、異常行動例は男児に多いことだった。130例の男女比は男子1.8対女子1の割合だった。また、年齢分布にも男女の違いがあり、平均年齢は男子8.5歳 女子6.3歳と、有意に男子の年齢が高かった(図1)。

図2 異常行動の分類と年齢の関係

図3 性別と異常行動の分類

 異常行動・言動の分類では、特に危険な行動のうち「飛び出し・飛び降り」は19例にみられた(危険のあったものを含む)。また他人に対して危害を加えそうになった例には、興奮して親の首を絞めた6歳男児、掃除機を振り回した13歳男児の例があった。このほか、箪笥に登り飛び降りた9歳男児の例もあった。

 異常行動の分類ごとに平均年齢をみると、危険度の高い群(表1のA)が年齢が高いという特徴があった(図2)。男女別では、A群は男子に多く女子に少ない傾向があった(図3)。

 飛び出し・飛び降りの19例については、神経学的評価も実施した。報告内容を神経内科医が判定したところ、幻覚、幻視などの異常に伴うものは9例、夢様状態に伴うものも9例あった。不随意運動の可能性があるものは1例だった。

図4 オセルタミビル使用の有無と異常行動

図5 アセトアミノフェン使用の有無と異常行動

 注目される抗インフルエンザ薬との関係では、オセルタミビルとアセトアミノフェンについて解析された。その結果、オセルタミビル内服の有無によって、異常行動の4つの分類間で発生の頻度に差は見られなかった(図4)。つまりオセルタミビル内服によって、危険な行動であるA群が他の異常行動に比べて増加する傾向は認められなかった。これはアセトアミノフェンでも同様だった(図5)。

 抗インフルエンザ薬内服の有無の違いで異常行動の分類ごとの頻度に差が認められなかったことから、高橋氏は「今回の調査は薬剤の使用頻度は明らかではないので、薬剤の使用によって異常行動全体の発生頻度が増加する可能性は否定できない。しかし少なくとも危険な異常行動(A群)に関しては、これらの抗インフルエンザ薬の使用がリスクを高めているような傾向はうかがえなかった」と考察している。

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