2006/2007シーズンは「季節はずれの流行」が相次いだのも特徴の一つだ。特に沖縄県では、3年連続で夏季の流行が確認された。これまでも散発的に、北海道や東北、宮崎や鹿児島などから報告されたことがある。迅速診断キットの普及により検出精度が上がったため把握しやすくなったとの指摘もあるが、なぜ季節はずれの流行があるのかについて、はっきりとした理由は分かっていない。

 7月11日。沖縄県は、インフルエンザ流行注意報を発令した。夏場での発令に驚く人は多いのだろうが、2005年、2006年と連続で夏の流行を経験していた沖縄の人にとっては「またか」の発令だった。

 沖縄県の昨シーズンを振り返ると、冬から春にかけては第11週(3月12~18日)に県全体の患者数が3084人(定点当たり53.17人)を記録した。その後、徐々に減少し、第19週(5月7~13日)には定点当たり6.88人まで落ち着いた。しかし、その後増減を繰り返し、第25週(6月18~24日)以降、再び患者数が増え始め第27週には患者数が670人、定点当たり11.55人に達した。この時点で注意報レベルに達したため、インフルエンザ流行注意報の発令に至ったのだった(図1)。

図1 沖縄県の2006/2007シーズンの推移

 最近になって、IASR Vol.28 No.11(No.333)November 2007に「2006/2007シーズン夏季のインフルエンザ流行――沖縄県」と題する報告が掲載された。

 それによると、沖縄県が3年連続で経験した異例のインフルエンザ流行の様相が明らかになっている。

 2004/2005シーズンは、5~7月に季節はずれの流行を初めて経験した。当時は例年になく降水量が多く、雨季と乾季にあわせ流行するという東南アジア型の流行と似ていたことから、温暖化の影響かと騒がれもした。

 2年目の翌2005/2006シーズンは、6~8月に流行し、患者数のピークは冬季を上回ってしまった。ただ、この年は降水量が多くなかったため、「温暖化説」は勢いをなくした。前年とは、B型が中心で過去に大きな流行がなかったビクトリア系統という違いがあったが、「なぜ夏か」への答えには結びつかなかった。

 そして3年目となった2006/2007シーズンは、ピークこそ2004/2005と変わらないが、いつまで経っても終息せず、通年でインフルエンザが発生している様相を示していた(図2)。

図2 過去5年間のインフルエンザ流行の推移

 沖縄県衛生環境研究所によると、夏の流行の原因については温暖化説のほか、「クーラーの影響」を指摘する向きもある。しかし、クーラーの普及と夏場の流行の始まりが合致しているかは疑問で、いまだに「分からない」のが正直なところだという。

 一方で、迅速診断キットの普及により検出精度が上がったため、流行を把握しやすくなったとの指摘もある。確かに、診断技術の向上とその普及は、検出力を高めたに違いない。これまで見えなかった流行が、見えるようになったということだろうか。

 いずれにせよ夏流行の理由の解明は今後とも続くだろうが、3年連続で季節はずれの流行を経験した沖縄県衛生環境研究所は、「インフルエンザは冬にだけ流行するという認識を改め、年間を通して監視をすることが重要」と指摘している。新型インフルエンザの流行が危惧されている中、この指摘は意義深い。

 なお、夏季流行株と冬季流行株の比較から、夏季流行株は次のシーズン冬季の流行株の主流となる可能性も出てきているという。沖縄県衛生環境研究所は、「非流行期とされてきた夏場のサーベイランスの重要性」と訴えている。