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特集 インフルエンザ 2007/2008

【連載】インフルエンザ診療マニュアル2007(No.4)
治療薬の予防投与と解熱薬あるいは抗菌薬の留意点
監修:日本臨床内科医会インフルエンザ研究班

 日本臨床内科医会は2000/2001年シーズンからインフルエンザ多施設研究に取り組み、数多くのエビデンスを蓄積してきた。その成果をもとに昨冬「インフルエンザ診療マニュアル」を作成、この冬には新たな知見を盛り込んだ2007-2008年版を発表した。その最新版をもとに、インフルエンザ診療のポイントをピックアップした。4回目のテーマは前回に引き続き「インフルエンザの治療について」。

 今回はインフルエンザの治療面、特に抗インフルエンザ薬の予防投与、あるいは解熱薬、抗菌薬についてまとめた。

 オセルタミビルの予防投与法は、通常成人および13歳以上の小児には1回75mgを1日1回、7~10日間経口投与する。またザナミビルの予防投薬法は通常、成人および小児には1回10mg(5mgブリスターを2個)を1日1回、10日間吸入する。なお、これらの予防投薬は保険適応がなく自費診療であり、また使用期間中のみ有効である。

 解熱薬で注意したいのは、15歳未満のインフルエンザ患者では、アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸などの解熱薬は投与しないことになっている点だ。小児のインフルエンザに伴う発熱に対しては、より危険性の少ないアセトアミノフェンが適切である。

 抗菌薬の使用については、インフルエンザでは細菌感染の合併がなければ、抗菌薬の投与は特に不要である。しかし高齢者の死因の多くが肺炎であり、肺炎合併が危惧される場合は早い段階で抗菌薬の使用を考慮する必要がある。

 また日常臨床において抗インフルエンザ薬により熱が下がっても咳、喀痰などがしばしば長く続くことがある。この症状改善には、in vitroで気道環境改善効果が証明されている抗菌薬のクラリスロマイシンが有効であった(図4-1)。この理由の1つとして非定型病原体の関与が考えられたが、2006-07年シーズン研究よりその関与は極めて少ないことが示唆され(表4-1)、本薬の咳改善効果は抗炎症作用や免疫制御作用など抗菌力以外の作用が抗インフルエンザ薬の効果に相加的に働いている可能性が示唆された。

 何らかの機序でこれら病原性微生物が肺炎など重篤な病態を引き起こす可能性については、今後さらに検討が必要である。

図4-1 抗菌薬内服後の経時的な咳および鼻汁の消失率36)

表4-1 インフルエンザ患者から検出された呼吸器感染症の起炎菌になり得る主な病原微生物(PCR法および培養法による検討)

(注)本マニュアルは日本臨床内科医会誌2007年12月号の臨時付録ですが、日本臨床内科医会事務局(東京都医師会館内、電話:03-3259-6111)でも入手可能です。


★参考文献
36)池松秀之,ほか.インフルエンザ時の咳および鼻汁に対するクラリスロマイシンの効果.化学療法の領域22:1915-1920,2006

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