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特集 インフルエンザ 2007/2008

【連載】インフルエンザ診療マニュアル2007(No.1)
典型的な症状を示さない患者が存在する
監修:日本臨床内科医会インフルエンザ研究班

 日本臨床内科医会は2000/2001年シーズンからインフルエンザ多施設研究に取り組み、数多くのエビデンスを蓄積してきた。その成果をもとに昨冬「インフルエンザ診療マニュアル」を作成、この冬には新たな知見を盛り込んだ2007-2008年版を発表した。その最新版をもとに、インフルエンザ診療のポイントをピックアップした。初回テーマは「インフルエンザの症状と合併症」。

 インフルエンザの典型的症状は、突然の発症、38℃以上の高熱、上気道炎症状、全身症状である。

 しかし、迅速診断法の普及により、典型的な症状を呈さない患者が存在することも分かってきた(図1-1、1-2)。

図1-1 A型インフルエンザの最高体温12)

図1-2 B型インフルエンザの最高体温12)

 図に示すように、最高体温(罹患中最も高い体温)が38℃超の割合は、小児ではA、B型ともに90%以上だが、成人ではやや低い。同様に最高体温37.5℃以下の症例は、65歳以上のA型で13.6%、B型で23.1%にみられ、このような症例を迅速診断キットなしに診断することは困難になっている(関連記事)。

 典型的な症状を示さない患者が存在するという認識は、インフルエンザ流行の異変、たとえば新型インフルエンザの発生を検出する上でも重要である。

 インフルエンザの合併症としては、小児の脳炎、脳症、高齢者の肺炎がよく知られている。この他に中耳炎、筋炎、心筋炎などもある102-105)。高齢者の肺炎は頻度、致命率ともに低くなく、常に念頭におかなければならない(表1-1)。

表1-1 A型インフルエンザの肺炎合併率13)(2002-03年)

(注)本マニュアルは日本臨床内科医会誌2007年12月号の臨時付録ですが、日本臨床内科医会事務局(東京都医師会館内、電話:03-3259-6111)でも入手可能です。


★参考文献
12) 河合直樹,ほか.2002/2003年のインフルエンザ流行時における臨床症状の検討.感染症誌78:681-689,2004
13) 河合直樹,ほか.インフルエンザ.臨床と研究81:1614-1618,2004
102)Epidemiol Rev 4:25-44,1982
103)Am J Public Health 77:712-716,1987
104)臨床と研究 88:1945-1948, 2000
105)感染症誌 71: 944-947, 1997

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