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特集 インフルエンザ 2007/2008

【2006/2007レビュー】
遅い立ち上がりでピークが3月に、ただし今年は早い?

図1-首都圏のインフルエンザ患者報告数(定点当たり報告数。2007年45週まで)

 2006/2007シーズンは異例ずくめだった。A型の流行は立ち上がりが例年より遅く、ピークは3月に入ってから訪れた。結果的にB型との同時流行となり、そのB型は大部分が20歳未満で、特に10代に流行が目立った。日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の調査結果から、こうした特徴が浮かび上がった。一方、今年はすでに各地から報告が舞い込んでいる。史上初の早期流行との指摘もある。果たしてどうなるのか(図1)。

 わが国のインフルエンザ流行は、毎年11月下旬~12月上旬にかけて発生が始まり、翌年1~3月に急増し、4~5月にかけて減少していくというパターンをたどるのが普通だ。ところが2006/2007シーズンは、読者の方々もご存知のように、いつもとは違う展開を見せていた。

 その特徴をいち早くまとめたのが日本臨床内科医会インフルエンザ研究班だ。2000/2001シーズン以来、インフルエンザ流行の調査研究を精力的に続けている。以下に、25都道府県の44医療機関が参加した研究から、まとまったばかりのデータを紹介したい。

■ この数年で最もA型の流行が遅かった
 過去6シーズンの発症日の分布から、2006/2007シーズンは、この数年で最もA型の流行が遅いことが分かった(図2)。

図2-2006/2007シーズンは、この数年で最もA型の流行が遅かった(出典:日本臨床内科医会インフルエンザ研究班)

 A型の流行の中央日に着目すると、2001/2002の2月11日から、1月21日、1月31日、2月27日、1月27日と推移していたが、2006/2007は3月11日で、ピークが初めて3月にまでずれ込んだ。

 特徴の2つ目は、A型とB型の同時流行だったことだ。B型の流行は1年置きに見られるが、B型の大流行があった2004/2005シーズンに次ぐ同時流行だった。

 流行の規模は、症例者数でみると1934例で、この6シーズンでは多いシーズンから4番目で、総体的に中規模クラスの流行だったといえる。

■ 10代ではB型が優位
 A型とB型の同時流行だったが、その中身は、過去のA型とB型の両方が流行したシーズンとは異なっていた。研究班が年齢層別に分析したところ、2006/2007には、A型はほぼ全年齢層に見られた。しかし、B型はほとんどが20歳未満に集中し、特に10代に流行の山が目立つという結果だった(図3)。

図3-A型とB型の両方が流行したシーズンの比較(出典:日本臨床内科医会インフルエンザ研究班)

 ただし、各シーズンの様相は異なっていた。たとえば、2002/2003シーズンは、A型もB型も20歳未満で流行が優位で、その山は重なり合っていた。一方、2004/2005シーズンは、A型もB型も10代未満に流行の山があり、特にB型で優位だった。これらに比べて、2006/2007シーズンは、A型は10代未満で、B型は10代で優位という特徴があった。

■ RSウイルス感染症との干渉現象?
 なぜ、A型の流行がずれ込んだのか。その理由の一つに、RSウイルス感染症との干渉現象を指摘する専門家がいる。2006/2007は、RSウイルス感染症の例年にない流行があった(図4)。これまでは、RSウイルス感染症が先行して流行し、インフルエンザの流行が始まると、RSウイルス感染症流行が下火になっていくというパターンだった。この現象は疫学的な干渉現象といわれている。

 今回は、RSウイルス感染症流行の規模が大きかったため、疫学的な力関係が逆転し、インフルエンザの立ち上がりを抑える方向に働いたのではないかという見方だ。いずれ詳しい検証が行われるだろうが、インフルエンザの流行を把握する上で、RSウイルス感染症は重要なポイントの一つに浮上しそうである。

図4-RSウイルス感染症の流行状況 2006/2007は例年にない大流行だった(出典:国立感染症研究所感染症情報センター)

 気がかりなのは、今年はRSウイルス感染症流行が少ないということだ。「RSウイルス感染症という主役不在のまま、次の流行(インフルエンザ)が立ち上がりつつある状況だ」と心配する小児科医は少なくない。インフルエンザの症例報告は、MLインフルエンザ流行前線情報データベースですでに始まっている。また、首都圏のインフルエンザ患者報告数をみると、例年になく早い流行の立ち上がりとなっている。早めの対策が必要だろう。

 2006/2007レビューで、忘れてはならないのは、「季節はずれの流行」だろう。夏場の沖縄県での流行は、新聞紙上をにぎわした。国立感染症研究所では、今後も続くとみている。次回は、このような季節はずれの流行に注目したい。

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