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特集 インフルエンザ 2007/2008

【専門家に聞く】(No.1)
特にB型でザナミビルはオセルタミビルより有効性が高い
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長 河合直樹氏

―― 5歳から10歳までと11歳以上でも分析されています。

河合  5歳から10歳までは、A型の場合、ザナミビル投与群とオセルタミビル投与群の間で解熱時間に違いはありませんでした。しかし、11歳以上では、A型の場合、ザナミビルの方が有意に短いという結果でした(図2-1)。B型の場合は、5歳から10歳までと11歳以上の両方で、ザナミビルの方で有効性が高いという結果でした(図2-2)。

図2-1 A型での解熱時間の比較(出典:J Infect 2007,doi:10.1016/j.jinf.2007.09.002

図2-2 B型インフルエンザでの解熱時間の比較(出典:J Infect 2007,doi:10.1016/j.jinf.2007.09.002

―― A型で5-10歳までは有意差がなかったものの、その他ではザナミビルの方で有効性が高かったわけですね。A型の5-10歳までで有意差がなかったことをどのように受け止めていますか。

河合  5-10歳までに着目したのは、ザナミビルが吸入方式であることを意識してのことです。A型の5-10歳で有意差が出なかった点の解釈は様々あると思いますが、私は、吸入のバイアスが若干あったかもしれないと推測しています。

―― 患者さんの吸入がもっと上手になれば、ひょっとしたら差が出てくるかも知れないということですか。

河合  あくまで推測ですが・・。私たちはさらに、解熱症例の割合でもザナミビル投与群とオセルタミビル投与群を比較しています。具体的に言うと、投与開始24時間後には、A型ではオセルタミビル投与群は44.1%、ザナミビル群は50.2%で、この両群で有意差は見られませんでした。が、B型ではオセルタミビル群が25.1%だったのに対しザナミビル群は44.6%と有意に高率でした。また、投与開始48時間の解熱症例率は、A型ではオセルタミビル群が83.1%、ザナミビル群が86.7%で、こちらも両群に有意差は見られませんでした。しかし、B型ではオセルタミビル群が55.6%だったのに対しザナミビル群では80.2%と有意に高率でした(図3)。

図3 解熱症例率の比較(出典:J Infect 2007,doi:10.1016/j.jinf.2007.09.002

―― B型では、明らかにザナミビルの方が有効性は高いという結果でした。一方でオセルタミビルに着目すると、24時間後も、48時間後も、A型よりB型で解熱症例率が有意に低くなっています。一方のザナミビルは、A型でもB型でも有効性に変わりはありません。

河合  その点は、これまでの私たちの研究でも分かっていたのですが、今回も確認できました。

―― 有害事象という点ではいかがでしたか。特に現在、異常行動の出現が心配されていますが。

河合  幻覚、異常行動などの精神神経症状は、A型で9例、B型で2例に確認されました。しかし、このうち4例は、オセルタミビルの投与前に確認されたものです。保護者への細かい聞き取り調査では実際にはもっと多くみられているようで、現在詳細な検討を行っています。抗インフルエンザ薬との関連は分かりませんが、インフルエンザそのものによる可能性があると思われます。なお、今回確認された精神神経症状は、すべて軽微なもので速やかに回復しています。

―― 先生方の研究成果を機に、今後はザナミビルを投与する医師は増えていくだろうと思われます。ただ、吸入方式である点については、心配する向きもあります。

河合  日本臨床内科医会が実施した患者さんへのアンケート調査では、吸入器への装填操作、薬剤の吸入の両方で、8割から9割ぐらいの人が「やさしい」と回答しています(図4)。特に、小さい患児ほど保護者の人が装填と吸入を行っていますが、保護者の回答を見ても、8割前後の人が「やさしい」としています。必要以上に、吸入方式である点を心配することはないと思われます。

図4-吸入器への装填操作の難易性(左)と薬剤の吸入についての難易性(右)(出典:岩城紀男、臨床と研究84巻11月号、印刷中)

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