日経メディカルのロゴ画像

特集 インフルエンザ 2007/2008

【専門家に聞く】(No.2)
医療関係者の治療や予防にはザナミビルを
長崎大名誉教授・愛野記念病院名誉院長 松本慶蔵氏

――  有効性についてオセルタミビルと比較したデータはありませんか。

松本  私が名誉院長をしている愛野記念病院では、インフルエンザ感染者の約30%にはザナミビルを処方しています。同病院内科医長の出川聡先生が最近行った調査によると、ザナミビルとオセルタミビルは、解熱の面ではほぼ同等の効果でしたが、特に咳嗽などの症状の消失面では、ザナミビルの方が速やかでした(図3、4)。

これは、2005年から2007年シーズンでノイラミニダーゼ阻害薬を処方された120例についてアンケート調査を行ったものです。6日間の症状について回答が得られた71例を対象に分析しました。そのうちザナミビルは34例(男性15例、女性19例、平均年齢33.3歳)に、オセルタミビルが37例(男性14例、女性23例、平均年齢45.6歳)に処方されていました。図の縦軸は、悪寒発汗、頭痛、喉の痛み、筋肉関節痛、咳の5つについて回答を求め、「がまんできない」を3、「かなり気にしている」を2、「ほとんど気にならない」を1、「症状なし」を0として数値化したものです。発熱は37℃以下を0とし、1日の最高体温を数値化しました。今回の検討は症例数が少ないため統計的な検討は行っていませんが、症状の消失という点でザナミビルの方が速やかという印象でした。

図3-インフルエンザ患者へのザナミビル投与後症状変化(n=34)(出典:出川聡ら、インフルエンザ 8[4]:43‐50,2007)

図4-インフルエンザ患者へのオセルタミビル投与後症状変化(n=37)(出典:出川聡ら、インフルエンザ 8[4]:43‐50,2007)

――  今回の河合先生らの研究の成果は、先生方の「印象」を「確信」に変えたと。

松本  そう、そのとおり。だから当然という言葉を使ったのです。

――  これらの結果を踏まえるなら、ザナミビルは今後、抗インフルエンザ治療薬の主役に躍り出ると言っていいのでしょうか。

松本  これを機に、これまでのオセルタミビル一辺倒という状態は、早急に改善すべきだと思います。特に、新型インフルエンザ対策を考えた場合、オセルタミビルとザナミビルをバランスよく使いこなす必要があります。

――  主役が2つあるという考え方でいいのでしょうか。

松本  そうです。改めて、抗インフルエンザ治療薬の選択肢が複数あることを再認識すべきです。その上で2つの薬のすみわけを考える。たとえば、医師をはじめとする医療関係者には、オセルタミビル耐性ウイルスに遭遇する可能性が高いと考えられますから、ザナミビルを優先的に使っていいと思います。つまり、インフルエンザになって倒れてしまっては困る人に重点的に使うのです。これまでどおり、吸入が難しい人は、経口薬であるオセルタミビルでいいと思います。

特にB型インフルエンザに対してはオセルタミビルより有効性が高いという結果でしたので、B型ではザナミビルを優先的に使うということも考えるべきだと思います。いずれにせよ、直ちにザナミビルがオセルタミビルに取って代わってしまうという状況は考えにくいですから、この2つをうまく使いこなしていくことをなにより重視すべきです。

  • 1
  • 2
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ