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インフルエンザ診療
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シリーズ◎インフルエンザ2020/21シーズン
どうなる? 今季のインフルエンザ流行
全国の定点患者数は36週から40週まで25人にとどまる

 今季のインフルエンザは静かな幕開けとなっている。ここ数年、夏季のインフルエンザ流行が見られていた沖縄県では、今年の夏以降、定点当たり0人台が続く。一方、全国の定点医療機関から報告される患者数は、暦の上でのシーズン開幕である第36週(8月31日~9月6日)以降、第40週(9月28日~10月4日)まで定点当たり0人で推移しており、流行の兆しは見えていない。

 図1は、昨シーズンのインフルエンザ流行の立ち上がりを示したものだ。沖縄県が第36週時点で既に、警報レベルの目安である定点30人を超えており、例年にない異常な立ち上がりだった。

図1 昨シーズンのインフルエンザ流行(沖縄県と全国の状況)

 しかし今年は、沖縄県の夏季インフルエンザ流行は、姿を消している(図2)。第31週の定点当たり0.1人が最高で、ほぼ定点当たり0人台で推移している。 

図2 今年の沖縄県のインフルエンザ流行

 全国的にも感染者はほとんど出ておらず、第36週以降、定点当たり報告数は0人のままだ。定点から報告された患者数は、第36週から第40週まで3人、4人、4人、7人、7人と推移し、累計で25人にとどまる。

 静かな幕開けの理由として、インフルエンザの専門家が挙げるのが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の影響だ。日本では、COVID-19の感染拡大を防ぐため、3密(密閉、密集、密接)を避ける行動に加えて、マスク着用や手指消毒・手洗いの励行、さらに日常生活でのソーシャルディスタンス確保などの対策が推し進められてきた。これが、インフルエンザの流行防止にも効いているとの見方だ。

 日本の夏に、インフルエンザの流行期だった南半球はどうだろうか。WHOの報告「Influenza update-377」によると、南半球はもとより世界のインフルエンザ流行は散発的かほとんど発生していない。例えば、COVID-19の流行が続くブラジルでも、インフルエンザの流行は報告されていない。

 こうした現状を見るに、今季の日本のインフルエンザ流行は、あっても小規模で済むのではないかとの楽観論が出てきそうだ。ただし、国内外ともに患者が全く出ていないわけではない点には留意する必要がある。また、今後、水際対策が緩和され、海外との人の往来が盛んになることを考えれば、インフルエンザウイルスの持ち込み例が出てくる可能性は否定できない。やはり、今季もインフルエンザ流行はあり得るとの前提で、ワクチン接種などの予防策を進める必要がある。

■参考情報
WHO,Influenza update-377

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