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2008. 8. 5

【用語解説】 肺年齢

 「肺年齢」とは、肺の健康状態を知る目安として、日本呼吸器学会が独自に考案した指標。

 努力肺活量測定における最初の1秒間の努力呼気量を1秒量FEV1)と呼んでいるが、FEV1は20代をピークに加齢とともに減少する。また、喫煙や呼吸器疾患などにより、その減少が速まることがわかっている。そのため、FEV1の数値だけでは自分のFEV1が同姓・同年代に比べて優れているのか、それとも劣っているのかが、すぐに分かりにくい。そこで、性、年齢、身長の別に設定された標準値を基に分かりやすく表したものが「肺年齢」である。

 「肺年齢」は、肺の健康状態を「年齢」という身近な言葉で表すことで、呼吸機能の低下状況や肺の老化度をだれもがやさしく把握できるように工夫された指標ともいえる。実年齢に比べて肺年齢が高いか低いかをみれば、肺の老化度を知ることができるからだ。

 呼吸器の異常を発見する手段として胸部X線検査が汎用されているが、COPDの早期発見は難しいとされている。そこで、スパイロメトリーといった簡便な呼吸器機能検査が実施されるが、検査値の解釈が容易でなく、自己の病状を実感することもまた難しいことが指摘されてきた。

肺年齢の算出式は男女別で18〜95歳が対象

 「肺年齢の算出式」は、日本呼吸器学会の肺生理専門委員会が2001年に作成した「1秒量の標準回帰式」を基に考案されており、男女それぞれに用意されている(図1)。

 肺年齢はその計算式に、身長と年齢を代入することで得られる。ちなみに、計算式は18〜95歳までを対象としているため、この年齢幅を超える算出結果は「18歳未満」あるいは「95歳以上」となる。

図1 肺年齢の式および算出ロジック

 現在、手間を省くため、肺年齢を自動的に計算するインターネットのサイトも複数設けられているほか、肺年齢とコメントが自動的に表示されるスパイロメーターも既に発売されている。

 また、本来の計算式をそのまま使用すると、COPDが疑われる1秒率(FEV1%)70%未満で、FEV1が100%以上になる症例では、実年齢より若く肺年齢が算出されるため、実年齢に補正し、COPD軽症に準じたコメントを添付する必要がある(図2)。なお、最新のスパイロメーターは、この年齢補正やコメント修正も自動的に行う。

図2 肺年齢算出の手順

肺への健康意識を高める役割果たす

 粉塵が多い環境で働く人や大量喫煙者は、慢性的な炎症が気管支や肺胞に起こり、呼吸機能の低下を来しやすい。そうした病態としてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が知られており、実際、40歳以上の日本人の8.6%がスパイロメメトリーで閉塞性障害を示しており、日本の人口に当てはめると530万人以上がCOPDに罹患していると推定される。

 COPDは進行性の疾患であり、一度破壊された肺胞は完全に回復することが難しいとされているので、早期発見・早期治療が非常に重要になる。肺への健康意識を高め、未受診者の治療を促進させるためにも、「肺年齢」の概念を普及させる意義は十分にあるといえるだろう。

(日経メディカル開発)

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