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低用量の利尿薬を用いた降圧治療は2型糖尿病新規発症を増加させない
植田 真一郎氏(琉球大学臨床薬理学講座教授)

2013/07/05

 追跡期間中央値は4.4年、追跡率は92.8%だった。主要評価項目である2型糖尿病新規発症率は、利尿薬群と非利尿薬群との間に差はなく、両群ともに5.0%だった(図1)。副次評価項目の痛風、治療抵抗性低カリウム血症、脳卒中、心筋梗塞の発症率についても、両群間に差は見られなかった。

図1●主要評価項目(糖尿病新規発症率)と副次評価項目の発症率
(出典:第35回日本高血圧学会での植田真一郎氏の発表より)
(*クリックすると拡大します)

空腹時血糖値、HbA1c値も差なし
 また、空腹時血糖値、HbA1c値も、試験開始時と終了時点において、両群間に差はなかった(図2)。

図2●試験開始時と試験終了時の空腹時血糖値とHbA1c(JDS値)の平均値
(出典:第35回日本高血圧学会での植田真一郎氏の発表より)

 尿酸は、利尿薬群で軽度上昇が認められたが、「これは利尿薬の作用機序を考えると当然の結果で、しっかりと利尿薬を服薬している証拠だ」(植田氏)。

 さらに、患者の性別、年齢、BMI、糖尿病家族歴、β遮断薬使用の有無、ACE阻害薬/ARB使用の有無で糖尿病新規発症率を比べたが、交互作用は確認されなかった。植田氏は、「β遮断薬、ACE阻害薬/ARB使用の有無で糖尿病発症率に差が出なかったことは意外だった。ただ、イベント数が少ないため、結論は出せない」と補足する。

 すべてのデータを踏まえ植田氏は、「主要評価項目の2型糖尿病新規発症率で有意差はなかったが、登録数が足りなかったこともあり、検出力不足でデータの信頼性は落ちる。しかし、空腹時血糖値、HbA1c値でも差がないという結果を組み合わせると、やはり両群間の2型糖尿病新規発症率には有意差がないだろうという結論を導くことができる。今回の結果から、利尿薬を治療選択肢の1つとして使用しやすくなるのではないか」と語る。

 今回の試験により、利尿薬による2型糖尿病新規発症の懸念は払拭されたが、今後の課題も残る。今回の試験結果では低ナトリウム血症の発現率の上昇は確認されなかったが、過去の報告では、特に、高齢、女性、高用量投与、多剤併用例において、突然発現するケースがあるとされている。

 植田氏は、「利尿薬投与によって低ナトリウム血症が発現するという懸念がまだ存在していることから、今後、観察研究で確認したい」としている。

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