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「相互理解」で進むオンライン診療・服薬指導
「日経クロスヘルス EXPO 2020」で医師や薬局経営者、厚労省担当者が活発に意見交換

COVID-19患者への対応、過疎地域での活用、薬局での取り組みなどを紹介

 続いて各法人がオンライン診療やオンライン服薬指導の実践例を報告。医療法人法山会・山下診療所(東京都目黒区、豊島区)理事長の山下巌氏は、オンライン診療を用いたCOVID-19患者への対応について紹介した(詳細は全国医療介護連携ネットワーク研究会のウェブページで公開)。

 オンライン診療を用いるメリットは、(1)電話では伝わらない重症感が分かる、(2)医師が顔を見せることで患者に安心感を与えられる、(3)診断と治療の枠組みだけではなく予防や経過観察に活用できる――などを挙げた。一方で課題としては、(1)かかりつけ医機能の強化、(2)医師のモラル、(3)医療リテラシー・ITリテラシーの向上、(4)周辺機器の開発やAIの導入――を挙げた。山下氏は、「1回の対面診療よりオンライン診療を複数回続けた方が有効な場合もある。現在オンライン診療を活用している医師から新しい診療の形を提案していかなければいけない」と今後の方針を語った。

織田氏はオンラインで参加

 社会医療法人祐愛会・織田病院(佐賀県鹿島市)総合診療科部長の織田良正氏は、COVID-19対応で変化した自院でのオンライン診療について報告した。同院では、1999年にテレビ電話を活用した遠隔診療、2016年にテレビ画面を活用したオンライン診療を開始した。現在、7診療科・20人の医師がオンライン診療を活用している。

 COVID-19により急速にオンライン診療の活用が広がり、2020年4~8月の実績は607件(再診のみ)となった。特徴的なのは、オンライン診療を活用している患者の年代で、60代以上が64.0%、80代以上でも25.0%を占める。織田氏は、「1999年時点では、ハード面のハードルが高かった。現在は多くの患者がスマートフォンを持っているので、思ったよりも敷居は高くない」と実感を述べた。

小笠原氏はオンラインで参加

 社会医療法人博進会(青森県南部町)理事長の小笠原和人氏は、山間地域でのオンライン診療の活用について報告した。同地域の高齢化率は37.5%と高く、診療圏も30km以上と広範囲だ。こうした地域では、患者やその家族の通院負担の軽減などにオンライン診療活用のメリットがあるとした。小笠原氏は、「やむを得ず治療を中断する患者や通院困難な患者にとって大きな診療ツールである」と語った。

 一方で、「要件が厳しく必要な患者が恩恵を受けられなかったり、医療機関にとって経営上のメリットが少なく、オンライン診療を受ける側や行う側の目線に立った制度ではない」(小笠原氏)と問題点を指摘した。そして、適応疾患の限定ではなく適応外疾患の規制、医師少数地域での規制緩和、医師の責任の下で6カ月に1回程度の対面診療など、今後のオンライン診療のあるべき姿を提案した。

 薬局などを展開する(株)メディカルグリーン(栃木県栃木市)代表取締役社長の大澤光司氏は、オンライン服薬指導の実際について報告した。今後の課題として、オンライン服薬指導に関する諸条件の緩和、電子処方箋の普及などを挙げた。現在はCOVID-19により規制緩和がされているが、通常、薬局がオンライン服薬指導をするには、必ずオンライン診療からの流れとなる。大澤氏は、「オンライン診療を行う医師が少ないことがオンライン服薬指導を進めたい薬局の障壁になることもある」と指摘した。

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連載の紹介

日経クロスヘルス EXPO 2020 リポート
2019年10月、医療従事者と周辺産業関係者の交流を目的に初開催して好評を博した「日経クロスヘルス EXPO」を、2020年は10月14日(水)~16日(金)にオンライン開催しました。その様子をお届けします。

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