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全世代型社会保障検討会議「年末に向け議論深める」
クロスヘルスEXPOに西村経財相が登場

西村康稔経済財政・再生相

 後期高齢者の医療機関での窓口自己負担割合の引き上げや、少子化対策などを盛り込んだ全世代型社会保障検討会議の最終報告を年内に取りまとめる──。2020年10月14日に開かれたクロスヘルスEXPOで西村康稔経済財政・再生相がビデオレター形式で出演し、見通しを語った。

 全世代型社会保障は安倍晋三前総理が肝煎りで進めていた、団塊の世代が75歳以上となる2022年を見据えた、年金、労働、医療など広範にわたる制度改革だ。2019年12月には、後期高齢者の医療費の窓口負担を所得に応じて現行の1割から2割に引き上げるなどとした中間報告を公表し、本来であれば今夏に具体的な所得制限などを定めた最終報告をまとめる予定だった。しかし新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で議論が停滞。とりまとめを年末へと延期していた。

 年金・労働改革について西村経財相は、(1)2021年4月から関連法を施行する70歳までの就業機会の確保、(2)厚生年金の適用拡大、(3)年金受給開始時期の選択肢の拡大──の3点について説明した。厚生年金は段階的に適用範囲を拡大し、2022年に従業員100人超、2024年に50人超の企業へと対象を広げる。また2022年4月には現在65歳となっている年金受給開始時期の選択肢を75歳まで拡大するとしており、西村経財相は「一律に引き上げるわけではない。意欲がある人が年金の受給開始を75歳にまで遅らせるという選択の幅を広げるものだ」と強調した。

 医療・介護分野では、「予防」の重要性を語った。2020年度の一般会計予算として国は、保険者である都道府県や市町村に対し、特定健診・特定保健指導や糖尿病の重症化予防など、健康づくりの取り組みを評価して交付金を交付するインセンティブ強化策などに1500億円を計上。また介護分野では高齢者の自立支援や重度化防止などの取り組みを評価する「介護保険者努力支援交付金・保険者機能強化推進交付金」として400億円を確保している。2019年末に策定した中間報告でも、両者の強化を目玉として据えていた。

 年末のとりまとめに向けた課題の1つとして、2割負担となる後期高齢者の所得基準の設定が挙げられる。またもう1つは、紹介状無しで大病院を外来受診した際に求める定額負担の増額だ。2020年度診療報酬改定後は特定機能病院と一般病床200床以上の地域医療支援病院を外来受診した場合、初診時5000円・再診時2500円以上(医科)の定額負担を求めているが、改革の議論では制度の対象病院を200床以上の一般病院にまで拡大し、患者の負担額を増額する方向が示されていた。これらについて「COVID-19も減少傾向になり落ち着いている。年末に向けて議論を深めていければと考えている」と述べた。

 少子化対策についても、2019年の出生数が86万人(出生率1.36)になったことを挙げ、「なんとか少子化に歯止めをかけなければいけない」として危機感を示した。菅総理が目玉政策として打ち出す不妊治療の保険適用や待機児童の解消などを進めるとした上で「男性が家事を手伝うことが少子化対策には効果がある。男性の育児休業をどのようにして取得促進するのかは大きなテーマだ」と述べた。

「来年前半には国民全員にワクチン」

 COVID-19の影響で失業者、休業者が増加した現状についても触れ、「休校のために女性が職から離れたり、非正規の人が職を失うなど、弱い立場の人にしわ寄せがいっている」と指摘した。総務省によると、8月の失業者数は200万人を超え、完全失業率は3.0%だった。また兼業・副業の促進やフリーランスの保護政策についても、検討会議の中で詳細を詰める方針を示した。

 COVID-19の現状に関しては、2020年6月5日以前と6月6日以降を比較して、(1)発症から入院までの日数が以前は平均7.6日だったのに対し、以降は5.1日に短縮した、(2)軽症・中等症者の死亡割合が6月6日以降は以前の5分の1程度、重症者の死亡割合は半分に低減した、という数字を挙げ「治療方法が定着してきており、経験を積み重ねることにより重症化や死亡を防ぐことができている。来年前半には国民全員にワクチンを打てる量を確保する」と述べた。

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連載の紹介

日経クロスヘルス EXPO 2020 リポート
2019年10月、医療従事者と周辺産業関係者の交流を目的に初開催して好評を博した「日経クロスヘルス EXPO」を、2020年は10月14日(水)~16日(金)にオンライン開催しました。その様子をお届けします。

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