日経メディカルのロゴ画像

冷え性の可視化や野菜摂取量の推定も、弘前大COIの超多項目健康診断

 弘前大学COI(センター・オブ・イノベーション)研究推進機構は、展示会「クロスヘルス EXPO 2019」(2019年10月9日から11日)に出展し、弘前市岩木地域で実施している超多項目の健康診断(健診)に実装した新規項目のデモを行った。具体的には、クラシエホールディングスが提供する冷え性検査や、カゴメが提供する野菜摂取量の推定検査、ファンケルが提供する自律神経関連検査、エーザイが提供する嗅覚検査だ。

 弘前大学COIは、統計上、日本で平均寿命が最も短命と言われる青森県で、病気の予測や危険因子の特定、予防のための技術を開発するプロジェクト。弘前市岩木地域の住民を対象に2000項目以上を計測する大規模な健診のデータを解析する。ここで得られる健診のデータを解析したり活用方法を開発したりするため、60以上の企業や研究機関が参画している。

 企業は新規の計測項目を開発し、実際に健診の項目としてデータを収集し解析することも可能。弘前大学COI研究推進機構の機構長補佐でCOI副拠点長の村下公一教授は、「健診項目はどんどん増えており、約3000と言っても過言ではない」と話す。

手指の毛細血管の画像や血流などを測定する。爪の裏の毛細血管の画像を確認している様子。(写真:日経 xTECH)

 例えばクラシエは、自覚症状を基にした漠然とした概念である「冷え性」を客観的に評価する方法を開発している。手指の毛細血管の画像や血流などを測定する。2018年の健診のデータと疾患との関係を検討し、冷えと健康との関係、冷えに関連する重要因子の抽出を行った。

皮膚のカルテノイドから野菜摂取量を推測

 カゴメは、野菜摂取量を推定するサービス「ベジチェック」を開発し、企業や自治体向けに提供を開始した。ベジチェックは、LEDを搭載したセンサーに手のひらを当て、皮膚からの反射光を検出して、緑黄色野菜などに多く含まれる天然色素のカルテノイド量を計算。計算結果を基に、野菜摂取の充足度を120段階で表示する。さらに、野菜摂取量の推定値も示す。利用者に野菜が足りていないことを認識させ、野菜摂取量を増やす行動変容を促す。

カゴメの野菜摂取量を推定するサービス「ベジチェック」(写真:日経 xTECH)

 またファンケルは2019年5月、弘前大学に「フレイル予防学研究講座」を開設し、自律神経活動を測定する技術を開発している。フレイルとは、加齢とともに心身の活力が低下した状態を指す。

 2019年度の健診で、弘前市の地域住民1065人を対象に自律神経活動を測定した。加齢に伴い、自律神経活動が低下することが分かったという。今後は、自律神経活動が低下する原因因子を特定し、フレイル関連因子を検討する方針だ。

自律神経活動を測定する機器(写真:日経 xTECH)

AIで疾患の発症予測

 村下教授は弘前大学COI事業の進捗について、「健診のデータを用いて疾患の発症予測のAIモデルを構築し、予測精度のめどがたってきた」と話す。

 COI事業で弘前大学は、京都大学大学院医学研究科ビッグデータ医科学分野の奥野恭史教授と共同で、健診のデータを利用して3年後の発症予測モデルを構築した。糖尿病や動脈硬化、高血圧、認知症、慢性腎臓病など20疾患を対象に解析した。また糖尿病に関しては、特に予測に必要な健診項目を特定するところまで研究が進んでおり、生活改善のアドバイスに役立てる。

 さらに弘前COIは今後、開発する啓発型の健診をベトナムで展開していく予定だ。村下教授は「具体的な健診項目は今後詰めるが、早ければ2019年内にも提供を始める」と話す。

弘前大学COI研究推進機構の機構長補佐でCOI副拠点長の村下公一教授。弘前大学COIは2019年3月、内閣府が主催した「第1回日本オープンイノベーション大賞」の内閣総理大臣賞を受賞した。(写真:日経 xTECH)

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

連載の紹介

「クロスヘルスEXPO 2019」リポート
医療・介護関係者と周辺産業の交流によるヘルスケア産業の革新を目的に、日経BPが開催する新イベント「クロスヘルスEXPO 2019」。ヘルスケア分野の行政動向や、様々な製品・サービスに関する最新情報を得られる同EXPOの注目セッションをリポートします。

この記事を読んでいる人におすすめ