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過重労働の是正が1病院で困難なら地域で協議を
厚生労働省医政局医事課長の佐々木健氏が登壇

厚生労働省医政局医事課長の佐々木健氏

 救急医療などを担う病院において、当該病院の努力だけでは医師の長時間労働の短縮に限界がある場合、機能の集約化や分化・連携、医師派遣などを含めて地域で協議し、地域全体で課題を解決していく必要がある――。厚生労働省医政局医事課長の佐々木健氏は10月9日、東京ビッグサイトで開催されている「クロスヘルスEXPO 2019」(主催:日経BP、10月9日から11日)に「医師の働き方改革を巡る最新動向」のテーマで登壇し、こう述べた。

 厚労省は「医師の働き方改革」、病床の機能分化・連携を促進するための「地域医療構想」、医師派遣などによる「医師偏在対策」を一体的に進める方針をかねてから示している。厚労省は医療介護総合確保基金などを活用し、地域医療の再構築に向けた取り組みを後押ししていく。

 2024年4月から適用される医師の時間外労働規制は、2019年3月末にまとまった検討会報告書で、一般病院が順守すべきA水準は「年960時間以下・月100時間未満」、地域医療を確保するためにやむなく長時間労働となるB水準は「年1860時間以下・月100時間未満」、一定期間集中して技能向上のための診療を必要とする医師向けのC水準は「年1860時間以下・月100時間未満」に決まった。これらは一般労働者よりも緩やかな規定のため、医師の健康確保を目的に「追加的健康確保措置」として、連続勤務時間制限や勤務間インターバル、「月100時間未満」を超える時間外労働での面接指導などを組み合わせる。

 佐々木氏は、「B水準適用病院は救急医療などの政策医療を担うイメージ」と述べた。3次救急または2次救急でも救急車の受け入れ実績が一定以上などの要件(図1)に加え、地域の医療提供体制と整合的であることなどが求められるとした。この点について厚労省「医師の働き方改革の推進に関する検討会」では、地域医療構想調整会議の内容を都道府県医療審議会に報告することによって整合性を検討する案が提示されている。
 

図1 B水準に関する要件の一部(第3回医師の働き方改革の推進に関する検討会資料より)

◆「救急医療提供体制及び在宅医療提供体制のうち、特に予見不可能で緊急性の高い医療ニーズに対応するために整備しているもの」・「政策的に医療の確保が必要であるとして都道府県医療計画において計画的な確保を図っている「5疾病・5事業」」双方の観点から、
ⅰ 三次救急医療機関
ⅱ 二次救急医療機関かつ「年間救急車受入台数1,000台以上又は年間での夜間・休日・時間外入院件数500件以上」かつ「医療計画において5疾病5事業の確保のために必要な役割を担うと位置付けられた医療機関」
ⅲ 在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
ⅳ 公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療の確保のために必要と認める医療機関
(例)精神科救急に対応する医療機関(特に患者が集中するもの)、小児救急のみを提供する医療機関、へき地において中核的な役割を果たす医療機関

◆特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な医療を提供する医療機関
(例)高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科等

 またB水準が適用となる病院では、医師の長時間労働を短縮すると診療機能そのものを縮小せざるを得ないケースが生じる。佐々木氏はそのような場合、病院機能の集約化や役割分担、医師派遣などを含めて地域全体で協議し課題解決しなければならないとした。

 一方で、「B水準適用の病院では全ての医師が1860時間まで働かなければならない」という誤解が多いと指摘。B水準適用病院でも業務内容などを勘案し、36協定で「1860時間以下」を適用する医師は限定的に定められると説明した。

 C水準に関しては、「技術を習得するために長時間の業務が必要だ」という医師の強い声を受けて設けられたと紹介。ただし、初期研修医や専攻医が長時間労働を強制されることのないよう、研修プログラムの想定労働時間を明示する。この研修プログラムにおける想定労働時間の明示は、準備が整い次第、2024年の規制導入よりも前倒しで実施するとした。

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連載の紹介

「クロスヘルスEXPO 2019」リポート
医療・介護関係者と周辺産業の交流によるヘルスケア産業の革新を目的に、日経BPが開催する新イベント「クロスヘルスEXPO 2019」。ヘルスケア分野の行政動向や、様々な製品・サービスに関する最新情報を得られる同EXPOの注目セッションをリポートします。

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