政府は今年4月、外国人労働者の受け入れ拡大にかじを切り、介護分野では今後5年間で最大6万人の受け入れを見込んでいる。人手不足に苦しむ介護事業者にとって外国人介護人材の受け入れの検討は大きな課題になる。

 日経BPが2019年10月9~11日に東京ビッグサイト(東京都江東区)で開催する「クロスヘルスEXPO 2019」では、最終日の10月11日(金)にパネルディスカッション「どう確保する? 介護人材 ― 外国人との協働から介護の魅力発信まで」を企画。外国人労働者受け入れの制度改正への理解を深めるとともに、実際の取り組み事例から外国人介護スタッフが定着・活躍するための工夫を探る。セッションのモデレーターを務める、厚生労働省社会・援護局福祉基盤課福祉人材確保対策室室長の川端裕之氏に、介護人材確保策の現状を聞いた。


 介護・福祉業界における人材不足の背景には、介護職員として就職した後のキャリアパスが見えにくいという課題があります。そのため、職員がなかなか定着せず、現場が自転車操業の状態となっているという声も聞きます。

 勤続後何年で、どれだけの給料がもらえるか。結婚して、家族を養うことはできるのか。現場で経験を積んだ後に選択できるキャリアは介護職のプロフェッショナルか。あるいは介護事業のマネジメント職、地域包括ケアの中核メンバーか――。こうしたキャリアパスを若い世代に明示する必要があります。

 サービス種別や事業の規模により、それぞれの事業者が示せるキャリアパスは様々だと思います。しかし、キャリアパスの明確化なしでは、現在の給料だけを比べられて、人材は他の業界に流れてしまいます。これは外国人についても、同様でしょう。

 このような課題を克服して介護・福祉の人材を確保するため、厚生労働省は様々な取り組みを進めています(表1)。介護現場を支えてもらうには多様な人材に働いてもらう必要があります。そこで、将来の中核人材になってほしい中高生や、子育てなどで介護職を離職した方、アクティブシニアなどをターゲットとして、現場を経験してもらったり、採用情報を発信したりといったアプローチ戦略をそれぞれの世代に対し展開しています。それでも、国内だけで人手を満たすことは難しいでしょうから、外国人人材の受け入れも並行して進めています。

 多様な人材に効率的に働いてもらうとともに離職率も減らすためには、処遇の改善、ICTなど新技術の導入による生産性の向上といった、横串のアプローチも必要です。また、多様な人材を受け入れる前提として、介護・福祉サービスで日々行っている業務の内容を細かく分析する必要があるでしょう。介護のプロを目指す介護職員が身体介護やアセスメントなどの業務に専念できるようになれば、業務負荷の軽減とともにケアの質の向上も期待できます。

表1 福祉人材確保に向けた厚生労働省の取り組み

外国人職員が地域交流の起点になるケースも

 これは私の持論でもあるのですが、カッコイイ職場でなければ、若い人を引き付けることはできません。内装は明るいカフェ風で、共用スペースを地域の人にも開放して様々なイベントを開催。Wi-Fiは当然完備し、職員はタブレットやスマートフォンを使いこなし、アセスメントや記録の作業は効率化している。こんな「カッコイイ」介護施設は既にあります。そうした先進的な施設を増やしていければ、他の業界に先駆けてイノベーションが進むカッコイイ仕事として介護・福祉の仕事をアピールできます。

 2019年度の「介護のしごと魅力発信等事業」では、中高生など若い世代への情報発信の一環として、俳優の要潤さんとモデルで介護福祉士の上条百里奈さんが介護・福祉の魅力を紹介するテレビ番組を2019年11月からBSで放送します。既に9月の「東京ガールズコレクション 2019 AUTUMN/WINTER」にも要さんや上条さんがステージに上がり、介護・福祉の魅力を若い観客に向けて発信しました。

 外国人人材の受け入れも、今後は増やしていかなければなりません。外国人の方が介護の現場に入ることに最初は抵抗感を持つ人も多いようですが、先行事例を聞くと、施設入所者やサービス利用者は外国人職員に興味津々で、良い交流が行われているようです。外国人職員が地域の子どもたちに教える英会話教室を契機として、地域の様々な人たちが介護施設に集まるという興味深いケースもあるようです。

 カッコよく、しかもダイバーシティー(多様性)をいち早く実現している職場――。セッションではこうした先行事例をお示しし、先行する介護事業者の方々と今後の方策をディスカッションしたいと思っています。 (談)

2019年10月11日(金) 15:20-17:00

どう確保する? 介護人材 ー 外国人との協働から介護の魅力発信まで

人手不足に苦しむ介護事業者にとって外国人介護人材の受け入れの検討は大きな課題になる。制度改正への理解を深めるとともに、実際の取り組み事例から外国人介護スタッフが定着・活躍するための工夫を探る。

第1部【講演】
厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室室長 川端 裕之

第2部【パネルディスカッション】
[パネリスト]
社会福祉法人伸こう福祉会 理事長 足立 聖子
社会福祉法人不二健育会 ケアポート板橋 施設長 村上 隆宏
社会福祉法人青森社会福祉振興団 理事長 中山 辰巳
[モデレーター]
厚生労働省 社会・援護局 福祉基盤課 福祉人材確保対策室室長 川端 裕之

◆お申し込みはこちら