日経BPは2019年10月9~11日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「クロスヘルスEXPO 2019」を開催する。このEXPOは、医療・介護・健康といったヘルスケア分野の行政動向や、様々な製品・サービスに関する最新情報を得られる場だ。

 本連載ではEXPOの見どころや、セミナーに登壇するキーパーソンからのメッセージを紹介していく。今回は「2040年を展望した医療提供体制」と題した基調講演(10月9日・水)に登壇する、厚生労働省医政局長の吉田学氏のインタビューを掲載する。


 「地域医療構想の実現」と「医師の地域偏在対策」、「医師の働き方改革」は、それぞれ別の施策ですが互いに連関しており、一緒に進めていく必要があります。

 地域ごとの医療ニーズは大きく変化してきていますが、医師をはじめとするマンパワーには一定の制約があり、医療の高度化に対応するには今までの体制では限界があります。産科が典型例ですが、ある程度機能を集約してチームで対応していくことが不可欠です。そのため病床機能や外来・在宅などの診療機能を含め、地域の医療全体の形をどう再編するかという視点から地域医療構想の検討が進められています。

 そこに医師偏在、医師不足という問題がより深刻な形で表れてきました。既に毎年9000人以上の医師が養成されており、マクロで見れば医師は充足しているという見方もあります。ですが大都市部のような医師が多い所でより増えており、それ以外では増え方が少ないことが分かってきました。この偏在は何らかの形で是正する必要があります。国や都道府県、臨床研修病院、学会など関係者全てが偏在の是正に動かないと、状況は改善しません。

 そして医療経営に大きなインパクトを与える、医師の働き方改革が出てきました。医師の時間外労働には上限が定められましたが、これが2024年に適用されると、医師の長時間労働に支えられていた我が国の医療、特に地域医療には大きな影響が及ぶことが予想されます。今のままでは駄目だということであれば、医師や医療関係職種の働き方改革を進めながら、我が国の医療を良くする方策を考えていかなければなりません。

現状が前提の対応は困難

 今までの医療供給体制を前提に、足りないところに医師を確保し、さらにそこで働く医師の働き方改革を進めて長時間労働を是正する、ということは率直に言って難しい。まずは地域医療構想の検討を進める過程で、その地域に不可欠な医療機関や診療科を見える化して、そこに医師を集中的に配置することを考えるべきでしょう。その際には、そこで働く医師の勤務が働き方改革に沿ったものになるかも議論していく必要があります。

 つまり冒頭に挙げた3つの施策は、三位一体で進んでいくものなのです。「クロスヘルスEXPO」が開催される10月は、それぞれに具体的な動きが出てくる時期なので、より詳しいお話ができると思います。

 また、私が所属する医政局は製薬産業や医療機器産業などを所管しており、研究開発支援やベンチャー支援、イノベーション推進なども大事な仕事です。今まで以上に幅広い分野の方々と交流して意見を聞き、そこから新たな価値を生み出すという意識で仕事を進めたいと考えています。その意味で「クロスヘルスEXPO」で交わされる議論には大いに期待しています。(談)

2019年10月9日(水) 12:40-14:20
■「クロスヘルスEXPO 2019」基調講演

2040年を展望した医療提供体制

人口減少が深刻となる2040年を見据え、地域資源を活用しながら地域の実情にあった医療・介護の供給体制の整備が急務となっている。そのためには「地域医療構想」の実現に向けた取り組み、医療従事者の働き方改革、医師偏在対策を三位一体で進める必要がある。関係者が取組むべき課題を共有したい。

厚生労働省医政局長
吉田 学氏

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