日経BPは2019年10月9~11日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「クロスヘルスEXPO 2019」を開催する。このEXPOは、医療・介護・健康といったヘルスケア分野の行政動向や、様々な製品・サービスに関する最新情報を得られる場だ。

 本連載ではEXPOの見どころや、セミナーに登壇するキーパーソンからのメッセージを紹介していく。第1回は、10月11日のパネルディスカッション「社会保障改革の課題と限界──持続可能な医療・介護のあり方とは」でパネリストを務める、厚生労働省医務技監の鈴木康裕氏のミニインタビューをお届けする。


 これから2040年までを見通すと、医療・介護分野で働く人の割合が増えていくので、労働人口の減少による担い手不足は非常に大きな課題です。特に介護は「4K職場」と言われるイメージもあって、人が採用しにくい。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などのテクノロジーの活用で4Kの部分をうまく代替し、労働力不足を解決していく必要があります。

 また今後は、ゲノム医療や核酸医薬などの新たなテクノロジーの広がりによって、個人の身体や遺伝子の特性に合わせたテーラーメードの医療が視野に入ってきます。今は有効率が高くない抗癌剤の投与も、遺伝子を分析した上で投与すれば無効例が減り、結果として医療費の抑制につながることも期待できます。

 このように、今の医療・介護業界が直面している様々な課題に、技術の進歩を活用しつつアプローチすることが、これからは非常に大事になってきます。

円滑な新規参入を可能に

 そのためには、今まで経験のない企業がヘルスケア産業に進出する際に、円滑に参入できるような方法も考えなければなりません。

 例えば、小型の補助人工心臓を作るときには小さな電池が必要になりますが、大企業はそういう電池を作ることを嫌がります。何か事故が起きたとき、会社の看板に傷が付くと考えるからです。

 人の生命に関わる以上、一定のリスクがあることは確かですが、そこを企業にうまく乗りきってもらえるような仕組みづくりを考えていかなければならないでしょう。

 また我々としては、医療機器の承認審査に新しい考え方を取り入れる必要があるとも思っています。今は申請時の効果と安全性を評価して、機器の性能が向上した場合は改めて審査することになっています。

 でも、既にAIを活用した診断システムが実用化しつつあります。それらは機械学習により性能が絶えず向上していくものですから、今の制度を続けていては、日本企業が欧米勢に勝てるわけがありません。性能が向上し続ける機器をどう評価するかは大きな課題だと考えています。

 ヘルスケア分野には様々な課題がありますが、その解決は厚生労働省や医療関係団体だけではできません。経済産業省など他の省庁や、異業種のメーカーなどの協力も欠かせないでしょう。その意味では、今回のEXPOのように、幅広い立場の人たちが一堂に会して知恵を出し合うというのは、とても大事なことだと思います。(談)

2019年10月11日(金) 10:00-11:40
■「クロスヘルスEXPO」設立記念シンポジウム

【パネルディスカッション】
社会保障改革の課題と限界
──持続可能な医療・介護のあり方とは


[パネリスト]
日本医師会長 横倉 義武氏
厚生労働省医務技監 鈴木 康裕氏
財務省主計局次長 宇波 弘貴氏
経済産業省商務・サービスグループ政策統括調整官/
厚生労働省医政局統括調整官/
内閣官房健康・医療戦略室次長 江崎 禎英氏
[モデレーター]
医療法人鉄祐会理事長 武藤 真祐氏

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