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抗凝固薬に関する患者と医師の認識ギャップ調査(その1)
患者の7割は「複数の治療選択肢を知りたい」

 心房細動患者に対する抗凝固薬を使った治療について、抗凝固薬を服用中の患者400人、抗凝固薬を処方している医師263人に対し、それぞれWEB調査を行ったところ、患者の約7割が「薬を処方されるときには、決定前に複数の治療選択肢について説明を聞きたい」と回答したことなどが明らかになった。


 直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)の臨床使用が始まってから5年が経過し、緊急手術や大出血の発現などに対応する中和薬の開発も進み、2016年9月にはダビガトランの中和薬が承認された。こうした状況の中、抗凝固薬を用いた治療についての患者と医師の認識の違いを明らかにすることを目的に、2016年10月にWeb調査を実施。抗凝固薬処方時の説明方法や中和薬に対する認識などについて聞いた。本調査は、日本ベーリンガーインゲルハイムの協力を得て実施した。

 調査の対象患者は、「心房細動/不整脈」と診断されて抗凝固薬(ワルファリン、ダビガトラン、リバーロキサバン、アピキサバン、エドキサバンのいずれか)を服用している人で有効回答数は400人(内訳は男性352人、女性48人)。平均年齢は59.4歳。

 調査対象の医師は、日経メディカル Onlineの登録医師で有効回答数は263人(内訳は内科111人、循環器科101人、神経内科51人)。

 患者に対し、まずは一般的に薬を処方されるときにどのような説明を医師から受けたいかを聞いたところ、「決定前に複数の治療選択肢の説明を聞きたい」と答えた人が67.5%と7割近くに上った(図1)。

図1 ※クリックで拡大します

「複数の治療選択肢について説明された」は4割
 心房細動患者の抗凝固療法については、患者が薬の服用効果を実感できないこともあり、抗凝固薬の選択肢も含め治療の目的について注意深く説明することが必要とされる。

 欧州心臓病学会(ESC)が8月に発表した2016年ESC心房細動治療ガイドラインでも、治療法とその治療目的について患者に伝え、治療決定をともに行うことの重要性について触れられている。

 そこで実際に、抗凝固薬を初めて処方されたときにどのような説明を受けたかについて患者に聞いたところ、「複数の治療選択肢について説明された後、処方薬を決定された」と答えた患者は40.3 %、「服用する薬についてのみ説明された」が40.3%、「特に説明されずに薬が処方された」と答えた患者も14.0%いた(図2上)。

図2 ※クリックで拡大します

 一方、医師に対しても、脳卒中予防で抗凝固薬を決める際に患者にどのような説明を行うかを尋ねた。すると、「複数の治療選択肢について説明した後、処方薬を決定する」と回答した医師は50.2%(図2下)。「処方を薦めたい抗凝固薬についてのみ説明する」と答えた医師は36.5%、「特に説明しない」と答えた医師は13.3%だった。

 患者の約7割が、「処方の際に、複数の治療選択肢について聞きたい」と希望している状況を踏まえると、抗凝固薬の治療選択肢についての説明が実施されているのは約5割に留まり、十分に実施されてはいるとは言えないことが分かった。

患者も医師も約8割が「医師の説明」を概ね評価
 もっとも、服用している抗凝固薬についての医師の説明が十分だったと思うかを患者に聞いたところ、「十分だった」が25.1%、「まあ十分だった」が59.2%で、8割以上が概ね肯定的に評価していることが分かった(図3上)。

図3 ※クリックで拡大します

 医師にも、患者への説明が十分だと思っているかを聞いたところ、「十分だと思う」は11.2%で、患者の回答の25.1%と比べると低かった。しかし、「まあ十分だと思う」の69.9%を合わせると約8割に達し(図3下)、患者と医師で違いはなかった。

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創刊から40年以上にわたって医学・医療の分野で取材を続けてきた『日経メディカル』の知見を活かし、医療従事者と企業を結び付けるマッチングサービスや業界リサーチなどを手掛ける「日経BPメディカル研究所」。その情報活動の一部をご紹介します。

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