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【新薬】組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(ヌバキソビッド)
COVID-19に対する組換え蛋白ワクチン

2022/07/01
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2022年5月10日、新型コロナウイルス感染症に対する組換えコロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(商品名ヌバキソビッド筋注)が発売された。同薬は、4月19日に製造販売が承認されていた。製剤としては、1バイアルに10回接種分の用量(5mL)が充填されている。適応は「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症の予防」、用法用量は「18歳以上の患者に使用する。初回免疫:1回0.5mLを2回、通常、3週間間隔で筋注。追加免疫:1回0.5mLを筋注」となっている。

 新型コロナウイルス感染症は、世界保健機関(WHO)ではCOVID-19と称しており、日本では感染症法で「指定感染症および検疫法に基づく検疫感染症」に指定されている。2022年6月1日時点、全世界で累計5億人以上が罹患している。

 主な伝播様式としては、感染患者からせき、くしゃみ、会話などの際に排出されるウイルスを含んだ飛沫・エアロゾルの吸入が主要感染経路と考えられている。潜伏期は1〜14日間であり、曝露から5日程度で発症することが多く、発症前から感染性があり、発症から間もない時期の感染性が高いことが市中感染の原因となっている。主な症状としては、発熱、咳、咳以外の急性呼吸器症状および重篤な肺炎が報告されている。

 現在、COVID-19に対しては、感染および重症化予防の目的でワクチン(mRNA、ウイルスベクター)の接種が全世界で行われており、治療薬においても既存のステロイドのデキサメサゾン(デカドロンオルガドロン他)などが対症療法として使用されているが、多くの薬剤は開発段階である。また、ワクチンに関しても副反応などもあり、選択肢が限られているのが現状である。

 ヌバキソビッドは、既存のSARS-CoV-2ワクチンと異なり、サポニンを主成分とするMatrix-Mアジュバントを用いた日本初となるSARS-CoV-2組換えスパイク蛋白質ナノ粒子ワクチン(SARS-CoV-2rS)である。同薬は、融合前のコンフォメーションで安定化し、精製された完全長のSARS-CoV-2rSナノ粒子で構成されている。また、Matrix-Mアジュバントの添加により、自然免疫系の活性化を促進し、S蛋白質特異的免疫応答を高めている。これら2つのワクチン成分により、S蛋白質に対するB細胞およびT細胞の免疫応答(中和抗体を含む)が誘導されることで、COVID-19に対して防御作用を有すると考えられている。

 2つの海外第III相試験(2019nCoV-301試験および2019nCoV-302試験)では、多様な背景を持つ18歳以上の成人において変異株を含めて症候性のCOVID-19発症予防における本ワクチンの有効性が確認された。また、20歳以上の健康成人を対象とした国内第I/II相試験(TAK-019-1501試験)において、免疫原性(血清IgG抗体価および従来型の野生ウイルスに対する血清中和抗体価の顕著な上昇)と安全性が確認された。海外では、2022年3月時点、インドネシア、英国など世界30以上の国または地域で条件付き承認または緊急使用許可等を取得している。

 副反応として、主なものは圧痛(75.3%)、疼痛(62.2%)、疲労(52.9%)、筋肉痛(51.0%)、頭痛(49.9%)、倦怠感(41.0%)、関節痛(23.9%)、悪心・嘔吐(14.5%)などであり、重大なものはショック、アナフィラキシーの可能性があるので十分注意する必要がある。

 ワクチン接種に際しては、下記の事項について十分留意しておかなければならない。

●接種回数
 初回免疫:2回接種により効果が確認されているので、原則として、他のSARS-CoV-2ワクチンと混同することなく2回接種すること

●接種間隔
 初回免疫:1回目の接種から3週間を超えた場合は、できる限り速やかに2回目の接種を実施すること
 追加免疫:通常、2回目の接種から少なくとも6カ月経過した後に3回目の接種を行うことができる

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