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【新薬】アンデキサネット アルファ (オンデキサ)
国内初、直接作用型第Xa因子阻害薬の中和薬

2022/06/10
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2022年5月25日、直接作用型第Xa因子(FXa)阻害薬の中和薬であるアンデキサネット アルファ(遺伝子組換え)(商品名オンデキサ静注用200mg)が薬価収載と同時に発売された。適応は「直接作用型第Xa因子阻害薬(アピキサバン、リバーロキサバンまたはエドキサバントシル酸塩水和物)投与中の患者における、生命を脅かす出血または止血困難な出血の発現時の抗凝固作用の中和」、用法用量は「直接作用型第Xa因子阻害薬の種類、最終投与時の1回投与量、最終投与からの経過時間に応じて、以下のA法またはB法で静脈内投与する。A法:400mgを30mg/分の速度で静脈内投与し、続いて480mgを4mg/分の速度で2時間静脈内投与。B法:800mgを30mg/分の速度で静脈内投与し、続いて960mgを8mg/分の速度で2時間静脈内投与」となっている(詳細は「用法及び用量に関連する注意」を参照)。

 FXa阻害薬は、FXaを選択的かつ可逆的に阻害することで、血液凝固系を阻害し血栓形成を抑制する。日本では、アピキサバン(エリキュース)、リバーロキサバン(イグザレルト)、エドキサバントシル酸塩水和物(リクシアナ)が心房細動に伴う虚血性脳卒中や下肢整形外科手術患者を含む静脈血栓塞栓症の発症抑制や再発抑制に広く臨床使用されている。近年、これらの薬剤による抗凝固療法中には、生命を脅かす頭蓋内出血や消化管出血などの出血性合併症が一定の割合で発現することが判明していたが、FXa阻害薬に対する中和薬がないのが現状だった。

 アンデキサネット アルファは、日本初となる血液凝固に関与するFXaの遺伝子組換え改変デコイ蛋白質のFXa阻害薬の中和薬である。FXa阻害薬に結合することで、その非結合形濃度が減少し、FXa阻害薬の阻害活性が低下する。その一方、血漿由来FXaが有する膜結合領域ドメインが欠失しているため抗凝固作用は示さず、また、活性部位のセリンがアラニンに置換されているため凝固促進作用も示さないという特徴を有している。

 日本人を含むFXa阻害薬で投与中の患者を対象とした国際共同第IIIb/IV相臨床試験(ANNEXA-4試験)において、同薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2022年5月時点、欧米を中心に世界30カ国以上で承認されている。日本では、2019年11月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 副作用として、主なものは心停止、発熱(各1%未満)であり、重大なものは血栓塞栓症(虚血性脳卒中[1.5%]、脳血管発作、心筋梗塞、肺塞栓症[各0.8%]など)、Infusion reaction(0.4%)が報告されているので十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない

●FXa阻害薬による抗凝固作用が発現している期間であることが推定される患者にのみ使用すること

●医学的に適切と判断される標準的対症療法の実施と共に使用すること

●20G以上の注射針を用いて、1バイアル当たり注射用水20mLで溶解し、10mg/mLとすること

●輸液ポンプまたはシリンジポンプを用いて、蛋白結合性の少ない0.2または0.22μmのインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製など)を通して投与すること

●承認までの治験症例が限られていることから有効性および安全性に関するデータ収集のために、全使用症例で使用成績調査を実施すること

●医薬品リスク管理計画書(RMP)では、重要な潜在的リスクに「抗体産生」「再出血」が挙げられている

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