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【新薬】ネモリズマブ(ミチーガ)
アトピー性皮膚炎に対する新たな抗体医薬

2022/05/13
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2022年3月28日、ヒト化抗ヒトインターロイキン(IL)‐31受容体Aモノクローナル抗体のネモリズマブ(遺伝子組換え)(商品名ミチーガ皮下注用60mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応として「アトピー性皮膚炎に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)」、用法用量は「成人及び13歳以上の小児に、1回60mgを4週間間隔で皮下投与する」となっている。

 アトピー性皮膚炎(AD) は、増悪・寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする慢性炎症性疾患であり、患者の多くはアトピー性素因を有している。特に、中等度から重症のADは、広範囲な発疹を特徴として、持続する難治性の痒み、皮膚の乾燥、亀裂、紅斑などの皮膚症状と共に掻破による毛細血管出血を伴うことがある。患者にとって、痒みが最も大きな負担となり、集中力の低下や睡眠障害などは著しく患者のQOL低下を来す。

 ADの治療目標は、症状が認められない、あるいは症状があっても軽微であり、かつ日常生活に支障がない寛解状態への導入および長期維持である。ADの治療法は病態に応じ、(1)薬物療法、(2)皮膚の生理学的異常に対する外用療法・スキンケア、(3)悪化因子の検索と対策――の3点が基本となっており、これらを患者ごとに症状の程度や背景などを勘案して適切に組み合わせる。現在、薬物療法としては、抗炎症外用薬のステロイドおよびタクロリムス(プロトピック他)が中心的治療薬として位置付けられており、さらに近年、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害作用を有したデルゴシチニブ(コレクチム)が登場した。さらに、これら外用薬でも効果不十分な場合には、ヒト型抗ヒトIL-4/IL-13受容体モノクローナル抗体の皮下注製剤デュピルマブ(遺伝子組換え)(デュピクセント)、JAK阻害薬のバリシチニブ(オルミエント)などの経口薬が臨床使用されている。

 ADの掻痒においては、ステロイドなど抗炎症外用薬の中心的薬剤の併用の下、補助療法として抗ヒスタミン薬の内服が用いられている。しかし、抗ヒスタミン薬の掻痒軽減効果はADの重症度や病像などにより異なることから、掻痒の軽減やコントロールができない症例も存在し、問題となっていた。

 ネモリズマブは、IL-31受容体A(IL-31RA)を標的とした、ADの掻痒に対する初の抗体医薬品である。ADの皮疹部ではTh2細胞が活性化しており、主にTh2細胞から産生されるサイトカインのIL-31は、ADの主な起痒物質の1つとして知られている。ネモリズマブは、IL-31と競合的にIL-31RAに結合することによって、IL-31の受容体への結合およびそれに続く細胞内へのシグナル伝達を阻害し、掻痒を抑制することが期待されている。既存治療でも中等度以上の掻痒を有する13歳以上のAD患者を対象とした国内第III相試験において、本薬の有効性および安全性が確認された。

 副作用として、主なものは皮膚感染症(ヘルペス感染、蜂巣炎、膿痂疹、二次感染など)(18.8%)、アトピー性皮膚炎(18.5%)、上気道炎(5%以上)などであり、重大なものは重篤な感染症(3.4%)、重篤な過敏症(0.3%)が報告されているので、十分注意する必要がある。

薬剤使用に際しては、下記の事項について留意しておかなければならない。

●本薬は、ADの掻痒を治療する薬剤であり、薬剤投与中も皮膚症状に応じた治療を併用すること。さらに、掻痒が改善した場合にもADに対する治療を怠らないこと

●本薬使用時も保湿剤を継続使用し、原則としてADの病変部位の状態に応じて抗炎症外用薬を併用すること

●本製剤は、デュアルチャンバーシリンジ(二室式のプレフィルドシリンジ)にネモリズマブの凍結乾燥品および溶解用の注射用水を充填した注射薬である。使用前には添付文書巻末の「操作方法」を熟読すること

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