日経メディカルのロゴ画像

【新薬】オリプダーゼアルファ(ゼンフォザイム)
酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症に対する世界初の治療薬

2022/05/06
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2022年3月28日、酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症治療薬のオリプダーゼアルファ(遺伝子組換え)(商品名ゼンフォザイム点滴静注用20mg)の製造販売が承認された。用法用量は「成人または小児患者における用量漸増法(用法および用量の項参照)に従い、開始用量およびその後の用量を隔週点滴静注。維持用量は、1回体重1kg当たり3mg」となっている。

 酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症ASMD)は、従来、ニーマン・ピック病A型およびB型として知られていたライソゾーム病の一種で、常染色体劣性単一遺伝子疾患である。ASMDでは、ライソゾーム加水分解酵素の酸性スフィンゴミエリナーゼ(ASM)をコードするスフィンゴミエリンホスホジエステラーゼ1(SMPD1)遺伝子の変異によりASM活性が低下し、脾臓、肝臓、肺などのライソゾーム内にスフィンゴミエリン(SPM)が蓄積する。SPMの蓄積により、浸潤性肺疾患、肝脾腫大、脂質蓄積によるアテローム形成、骨粗鬆症または骨密度減少、汎血球減少症、肝機能障害、心疾患、網膜症、成長遅延などを合併する可能性が報告されている。ASMDの病型は、出生時から神経症状を呈し、急性神経障害が認められる乳児内臓神経型(NPD-A)、神経症状が認められない慢性内臓型(NPD-B)、経過と共に神経症状が発現する慢性内臓神経型(NPD-A/B)の3つに分類されている。ASMDの発症率は10万人あたり0.4~0.6人と推定されており、日本では2018年度の全国疫学調査でASMD患者は3例と報告されている。

 従来、日本ではASMDの疾患の改善または進行を遅延させる治療法がなく、治療薬も承認されていない。オリプダーゼアルファは、脾臓、肝臓、骨髄、肺、腎臓等の単球-マクロファージ系細胞に蓄積するSPMを加水分解する、遺伝子組換えヒトASMであり、世界初となるASMDに対する酵素補充療法製剤である。同薬は、血液脳関門を通過しないことから、ASMD患者において中枢神経症状以外の様々な症状の改善が期待されている。

 ASMD患者を対象とした国際共同試験(日本人患者を含む成人)および海外臨床試験(小児)から、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、21年12月時点、欧米で審査中であり、承認されていない。日本では、17年4月に先駆け審査指定制度の対象品目に指定され、20年9月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 副作用として、主なものは頭痛、悪心、嘔吐、腹痛、蕁麻疹、そう痒症、筋肉痛、発熱、C-反応性蛋白増加(各10%以上)などであり、重大なものはInfusion reaction(55.9%)、アナフィラキシー(1.7%)が報告されているので十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては、下記の事項について留意しておかなければならない。

●BMI>30の患者では、BMI=30に相当する体重を用いて投与量を決定すること
  投与量の算出に用いる体重(kg)=30×[身長(m)]2

●投与前および投与時等における肝機能検査の実施に関しては、添付文書上の「用法および用量に関連する注意」を参照すること

●注射用水で溶解し、生理食塩液を用いて希釈して後に投与速度に注意しながら投与する(添付文書上の「用法および用量に関連する注意」を参照)

●投与予定日から3日を超えた時点で休薬とし、休薬後に投与を再開する場合は、添付文書上の「用法および用量に関連する注意」を参照すること。また、投与再開後は、再開後の投与日から隔週投与とすること

●国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施すること

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ