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【新薬】ラスミジタンコハク酸塩(レイボー)
片頭痛発作に対するセロトニン1F受容体作動薬

2022/03/04
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2022年1月20日、片頭痛治療薬のラスミジタンコハク酸塩(商品名レイボー錠50mg、同錠100mg) の製造販売が承認された。用法用量は「1回100mgを片頭痛発作時に経口投与する。ただし、患者の状態に応じて1回50mg又は200mgも投与することができる。頭痛消失後に再発した場合、24時間あたりの総投与量が200mgを超えない範囲で再投与可」となっている。

 片頭痛は、片側性で拍動性の中等度から重症の頭痛が繰り返し生じ、発作は4~72時間持続する。一次性頭痛(原因疾患がない頭痛)の中でも重要な疾患である。また、頭痛の他に悪心、嘔吐、光過敏および音過敏などの随伴症状を伴うことが多く、日常動作で頭痛が増悪することで罹患患者のQOL低下など日常および社会生活に大きな支障を来す。片頭痛は「前兆のある片頭痛」と「前兆のない片頭痛」などに細分化されており、日本での年間有病率は8.4%であり、女性に多いことも特徴の1つである。

 片頭痛治療は、発作を速やかに消失させる急性期治療と発作を抑制する予防療法に大別され、日本神経学会などによる「頭痛の診療ガイドライン2021」では、理想的な急性期治療として、痛みと随伴症状を迅速に消失させること、効果が一定していること、再発がないことなどが記載されている。現在、急性期治療の中心としては、片頭痛の起因に影響しているセロトニン1B、1D(5-HT1B/1D)受容体に選択的に作用するスマトリプタンコハク酸塩(イミグラン他)などのトリプタン系薬が第一選択薬として広く臨床使用されている。一方で、急性期治療において既存薬では十分な効果が得られない患者もおり、また、トリプタン系薬は脳心血管疾患の既往を有する患者には安全性の懸念から投与できない場合もあることが問題となっていた。

 近年の研究から片頭痛の病態には、中枢での疼痛シグナル伝達および末梢での三叉神経系の過活動が関係しているとされ、セロトニン1F(5-HT1F)受容体が三叉神経系や視床、大脳皮質に発現していることから、5-HT1F受容体の片頭痛への関連性が指摘されてきた。

 ラスミジタンは血液-脳関門通過性を有し、5-HT1F受容体に選択的に結合することにより、中枢での疼痛情報の伝達を抑制し、末梢では三叉神経からの神経原性炎症や疼痛伝達に関わる神経伝達物質(カルシトニン遺伝子関連ペプチド[CGRP]やグルタミン酸など)の放出を抑制することで、片頭痛発作を急速に消失させる作用を示す選択的5-HT1F受容体作動薬である。また、本薬はトリプタン系薬とは異なる作用機序を有し、血管収縮作用を示さないことから脳心血管系疾患を有する患者にも投与可能である。

 日常生活に支障がある片頭痛患者を対象に、プラセボを対照とした国内第II相試験および外国第III相試験などから本薬の有効性および安全性が確認された。海外では2021年12月現在、米国を含む世界7カ国で承認されている。

 副作用として、主なものは浮動性めまい(18.8%)、動悸、回転性めまい、悪心、疲労(無力症を含む)、異常感(ゆったり感、酩酊感を含む)、筋力低下、嗜眠(倦怠感、不快感を含む)、錯感覚、傾眠(鎮静、過眠症を含む)、感覚鈍麻 、協調運動障害(歩行障害、不器用等を含む)(各1%以上)などであり、重大なものはセロトニン症候群(0.1%未満)が報告されているので十分注意する必要がある。

 なお、薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●国際頭痛学会による片頭痛診断基準により「前兆のない片頭痛」あるいは「前兆のある片頭痛」と確定診断が行われた場合にのみ投与すること

●片頭痛発作時のみに使用し、予防的には使用しないこと


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