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【新薬】グルカルピダーゼ(メグルダーゼ)
メトトレキサート排泄遅延時の解毒薬が登場

2022/01/21
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年9月27日、解毒薬のグルカルピダーゼ(遺伝子組換え)(商品名メグルダーゼ静注用1000)の製造販売が承認された。適応として「メトトレキサート(MTX)・ロイコボリン(LV)救援療法におけるMTX排泄遅延時の解毒」、用法用量は「50U/kgを5分間かけて静注。なお、初回投与48時間後の血中MTX濃度が1μmol/L以上の場合は、初回と同じ用法用量を追加投与可」となっている。

 MTX(メソトレキセート)は、葉酸を核酸合成に必要な活性型葉酸へ還元する酵素の働きを阻止し、チミジル酸合成系を阻害して、腫瘍細胞を抑制する葉酸代謝拮抗薬である。しかし、癌細胞(骨肉腫細胞など)では能動的にMTXを取り込む機構が欠落しているため、大量のMTX投与により受動的に取り込ませ、一定時間後にMTXの解毒薬である葉酸誘導体のLV(ホリナートカルシウム;ユーゼルロイコボリン他)を投与し、能動的にLVを取り込むことができる正常細胞を救援する。これをMTX・LV救援療法と呼び、肉腫(骨肉腫、軟部肉腫など)、急性白血病、悪性リンパ腫などの治療に用いられている。

 また、MTX・LV救援療法の副作用として、MTXの結晶が尿細管に沈着することで腎機能障害を起こし、MTXの排泄遅延により、様々な臓器が高濃度のMTXにより組織障害を引き起こすことが報告されている。これに対しては、MTX・LV救援療法に加え、MTX排出を目的とした支持療法(大量補液、尿アルカリ化および利尿薬の投与)も行われている。しかし、これらの処置や治療を行っていても、まれに致命的な転帰をたどり、早期に治療介入を行わないと死に至る可能性が指摘されてきた。

 グルカルピダーゼは、MTXのカルボキシ末端のグルタミン酸残基を加水分解することで、主要排泄経路である腎臓に依存せずに血中MTX濃度を低下させる、遺伝子組換えVariovorax paradoxusグルタミン酸カルボキシペプチダーゼであり、390個のアミノ酸残基からなるサブユニット2個から構成される蛋白質である。MTX・LV救援療法時にMTX排泄遅延を生じた患者(小児および成人)を対象とした、国内での医師主導治験(国内第II相試験[CPG2-PII試験])において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、21年9月時点、米国で承認されており、日本では20年8月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 副作用として、主なものは血中ビリルビン増加(5~10%未満)であり、重大なものはアナフィラキシーなどの過敏症(6.7%)が報告されており、さらに結晶尿の可能性もあるので十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●LV救援療法および支持療法(尿のアルカリ化、十分な水分補給など)が実施されている患者に投与すること

●本薬投与後もMTX・LV救援療法を継続するが、本薬がLVを分解し、LVの血中濃度を低下させる可能性があるので、LVは本薬投与の前後それぞれ2時間以上の間隔を空けて投与すること(「重要な基本的注意」の項を参照)

●MTXの効果を減弱させる可能性があるので、患者の状態(急性腎障害の有無)などを考慮しながら、血中MTX濃度(「効能又は効果に関連する注意」を参照)に応じて本薬を投与すること

●国内での治験症例が極めて限られていることから、製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施すること

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