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【新薬】アバコパン(タブネオス)
選択的C5a受容体拮抗薬が登場

2021/12/03
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年9月27日、選択的C5a受容体拮抗薬のアバコパン(商品名タブネオスカプセル10mg)の製造販売が承認された。適応は「顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症」、用法用量は「成人に1回30mg、1日2回朝夕食後に経口投与」となっている。

 顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)および多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)は、好中球に発現する抗原ミエロペルオキシダーゼ(MPO)およびプロテイナーゼ3(PR3)に対する自己抗体の抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody:ANCA)の産生を特徴とし、主に中小型血管が傷害される全身性の壊死性血管炎であり、ANCA関連血管炎に分類されている。MPAは、病理学的に血管壁に免疫複合体の沈着を認めず、肉芽腫を伴わない壊死性小型血管炎と定義され、発熱、易疲労感などの全身症状とともに腎障害を主とする様々な臓器病変を合併する。GPAは、病理学的に上気道および肺における壊死性肉芽腫性病変、腎臓での壊死性糸球体腎炎、全身の中小動脈の壊死性血管炎を特徴としている。MPAとGPAはともに2014年10月難病に指定されている。

 国内のガイドラインでは、MPAおよびGPAの治療としてグルココルチコイド(プレドニゾロンなど;GC)および免疫抑制薬の併用が基本とされており、寛解導入療法の標準的治療では高用量GCおよびシクロホスファミド(エンドキサン;CPA)、またはリツキシマブ(リツキサン他;RTX)の併用、寛解維持療法の標準治療では低用量GCおよびアザチオプリン(アザニンイムラン;AZP)などの併用が推奨されている。一方で、GC、免疫抑制薬による感染症などの重篤な副作用発現も問題となっていた。

 アバコパンは、好中球をはじめとする白血球などに存在するC5a受容体に対して選択的に拮抗する。ANCA関連血管炎の発現機序は完全には解明されていないものの、補体系の活性化の最終段階で産生される補体成分のC5aがC5a受容体を活性化することで病態進行に深く関与していることが判明している。アバコパンは、選択的C5a受容体拮抗作用により、好中球の遊走および接着分子の発現誘導を妨げることで、ANCA関連血管炎の症状を改善する。また、他の補体系には作用しないことから、髄膜炎菌をはじめとする莢膜形成菌の感染防御に必要な膜侵襲複合体C5b-9の形成に影響を及ぼさない特徴がある。

 日本人を含むMPAおよびGPA患者を対象とした国際共同第III相試験(ADVOCATE試験)で、プレドニゾロンとの比較において本薬の有効性および安全性が確認された。海外においては、2021年7月現在、米国および欧州で承認審査中であり、日本では2019年3月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 副作用は、上気道感染、鼻咽頭炎、鼻炎、好中球減少症、悪心、下痢、嘔吐、上腹部痛、頭痛、血中クレアチンホスホキナーゼ増加、白血球数減少(各1%以上~10%未満)などであり、重大なものは肝機能障害(肝細胞損傷、胆汁うっ滞性肝炎[各0.6%]などの重篤な肝胆道系障害[2.4%]、および重篤な肝機能検査値上昇[1.2%])、重篤な感染症として肺炎(1.2%)などが報告されているので十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては下記の事項について留意しておかなければならない。

●ANCA陰性のMPAおよびGPA患者においては、国内診療ガイドライン等の最新情報を参考に、本薬投与を検討すること

●肝機能障害が起こる可能性があるので、投与開始前および投与中は定期的に肝機能検査を実施すること

●重篤な感染症が起こる可能性があるので、本薬投与中はニューモシスチス肺炎に対する予防措置(ST合剤[バクタバクトラミン他]の投与など)を考慮すること

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