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【新薬】アニフロルマブ(サフネロー)
SLEに対するI型IFN受容体拮抗薬

2021/11/19
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年9月27日、全身性エリテマトーデスSLE)治療薬のアニフロルマブ(遺伝子組換え)(商品名サフネロー点滴静注300mg)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な全身性エリテマトーデス」、用法用量は「成人に300mgを4週間ごとに30分以上かけて点滴静注」となっている。

 SLEは、抗dsDNA抗体や抗核抗体を特徴とする自己抗体の産生、Bリンパ球の機能異常などの免疫異常を伴う自己免疫疾患であり、免疫複合体の組織沈着に起因する、組織障害をはじめとした多彩な全身性炎症性病変と言われている。SLEの主な症状として、疲労など全身症状をはじめ、皮膚・粘膜症状、筋・関節症状、腎症状、神経症状、血液学的症状と多彩であり、個々の患者によって障害される臓器や程度により出現する症状が異なる。SLEは指定難病であり、若年女性に好発し、発症年齢は20~40代であることが多く、寛解と増悪を繰り返して慢性の経過をたどることが多いとされている。

 現在、SLEに対する標準治療としては、ステロイドや非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)を中心に、臓器障害の重症度により免疫抑制薬(アザチオプリン[アザニンイムラン]、シクロホスファミド水和物[エンドキサン]など)、抗マラリア薬のヒドロキシクロロキン硫酸塩(プラケニル)も臨床使用されている。また、これらの標準治療で効果不十分なSLEにおいては、2017年12月より、可溶型Bリンパ球刺激因子(BLyS)に対するヒト抗BLySモノクローナル抗体のベリムマブ(遺伝子組換え)(ベンリスタ)が臨床使用されている。

 これまでの様々なエビデンスから、SLEの発症においてはI型インターフェロン(IFN)が中心的な役割を果たすことが判明している。I型IFNは、樹状細胞の成熟、自己抗体の産生、免疫複合体の形成、臓器炎症を促進すると共に、自己免疫を促すさらなるⅠ型IFNの産生を促進する。SLE患者の多くはI型IFNシグナル伝達が抑制されずに持続し、IFN誘導遺伝子が過剰発現しており、患者の病態へのI型IFNの関与も示唆されている。

 アニフロルマブは、I型IFNα受容体のサブユニット1(IFNAR1)に結合するヒト抗I型IFNAR1モノクローナル抗体である。IFNAR1の細胞内移行を誘導し、細胞表面のIFNAR1の発現レベルを低下させる。このことにより、IFNAR1を介したI型IFNシグナル伝達を阻害し、自然免疫および獲得免疫においてIFN誘導遺伝子の発現が抑制され、下流の炎症および免疫プロセスが阻害される。

 標準治療を受けている中等症から重症のSLE患者を対象とした第III相国際共同試験(D3461C00004試験およびD3461C00005試験)において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2021年8月現在、米国で承認されており、欧州で承認申請中となっている。

 副作用は、上気道感染、注入による反応(各10%以上)などであり、重大なものは肺炎などの重篤な感染症(1.7%)が報告されており、アナフィラキシーの可能性もあるため十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては、下記の事項について留意しておかなければならない。

●ステロイド、免疫抑制薬などによる既存治療でも、疾患活動性を有する場合に、本薬を上乗せして投与すること

●抗核抗体、抗dsDNA抗体などの自己抗体が陽性であることを確認されたSLE患者に使用すること

●製造販売後、一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は、全症例を対象に使用成績調査を実施すること

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