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【新薬】プロゲステロン(エフメノ)
HRTに用いる新たな経口黄体ホルモン製剤

2021/10/29
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年9月27日、黄体ホルモン製剤プロゲステロン(商品名エフメノカプセル100mg)の製造販売が承認された。適応は「更年期障害および卵巣欠落症状に対する卵胞ホルモン剤投与時の子宮内膜増殖症の発症抑制」、用法用量は「卵胞ホルモン剤との併用において、次のいずれかを選択する。(1)卵胞ホルモン剤の投与開始日から1日1回100mgを就寝前に投与、(2)卵胞ホルモン剤の投与開始日を1日目として、卵胞ホルモン剤の投与15日目から28日目まで1日1回200mgを就寝前に投与し、これを1周期として、以後この周期を繰り返す」となっている。

 更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)や膣萎縮症状に対して卵胞ホルモンを補充する治療はホルモン補充療法(HRT)と称されている。HRTには、エストラジオール(ジュリナ他)やエストリオール(エストリールホーリン他)などの卵胞ホルモン製剤が承認されている。

 HRTについては、卵胞ホルモンの子宮内膜増殖作用により子宮内膜癌(子宮体癌)を発症する危険性が指摘されていたが、黄体ホルモン製剤を併用することで発症が抑制されることが判明してからは、国内外でHRTでは卵胞ホルモン製剤と黄体ホルモン製剤を併用することが標準的となっている。

 日本では、更年期障害および卵巣欠落症状に伴うホットフラッシュなどの症状に適応を有する黄体ホルモン製剤は、卵胞ホルモンとの外用配合薬(メノエイド)のみであった。このことから、日本産科婦人科学会および日本更年期医学会(現:日本女性医学学会)からHRTに適応を有する既存の卵胞ホルモン製剤と併用できる黄体ホルモン製剤の早期承認・開発の要望書が提出され、2010年の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外検討会議」で高い評価を受けて開発が進められ、今回の承認に至った。

 エフメノは、通常経口投与では吸収されにくい天然型黄体ホルモン(プロゲステロン)をマイクロナイズド化(微粒子化)することで、経口投与によっても吸収しやすくした日本初となる、更年期障害および卵巣欠落症状に対するホットフラッシュなどの症状に適応を有する製剤である。プロゲステロンは、子宮内膜上皮細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合してエストロゲン受容体の遺伝子発現を抑制すること、および子宮内膜間質細胞に発現するプロゲステロン受容体に結合して線維芽細胞増殖関連因子の産生を抑制することにより、エストロゲン受容体が制御する細胞増殖関連因子の産生を抑制し、卵胞ホルモンによる子宮内膜上皮細胞の増殖を抑制すると考えられている。

 子宮非摘出の更年期障害または卵巣欠落症状を有する女性を対象とした国内第III相試験(エストラジオール併用投与)において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、プロゲステロン欠乏に関連する治療薬として、2021年6月現在、世界100ヵ国以上で承認されている。

 副作用としては、不正子宮出血(33.5%)、回転性めまい、下腹部痛、腹部膨満、便秘、悪心、腹部不快感、背部痛、頭痛、浮動性めまい、傾眠、乳房不快感、膣分泌物、乳房痛、外陰膣そう痒症(1%以上)などであり、重大なものとして、血栓症の可能性があるので十分注意する必要がある。

 薬剤使用に際しては下記の事項について留意しなければならない。

●本薬は、子宮のない患者には投与しないこと

●最高血中濃度(Cmax)および血中濃度時間曲線下面積(AUC)が上昇するため、食後投与を避けること

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