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【新薬】ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)(ルタテラ)
神経内分泌腫瘍に対する新たな放射性医薬品

2021/10/15
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年9月29日、放射性医薬品ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)(商品名ルタテラ静注)が発売された。本薬は6月23日に製造販売が承認され、8月12日に薬価収載されていた。適応は「ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍」、用法用量は「成人に1回7.4GBqを30分かけて8週間間隔で最大4回まで点滴静注。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 神経内分泌腫瘍(NET)は、膵臓、消化管、肺、気管支など全身の様々な臓器に発生する、神経内分泌細胞に由来する腫瘍の総称であり、希少疾病に分類されている。NETの根本治療は外科的切除であり、手術の適応はCTやMRI、検索部位に応じて体外超音波検査、各臓器の内視鏡検査などを組み合わせて判断していた。さらに、NET患者にはソマトスタチン受容体(SSTR)が高頻度に発現しているという特徴を利用し、2016年1月よりソマトスタチンアナログのペンテトレオチドに診断用放射性同位元素インジウム(111In)を標識した放射性医薬品インジウムペンテトレオチド(111In)(オクトレオスキャン)が臨床使用されるようになり、NETのより適切な診断が可能となっている。

 外科的切除以外にも、NETの治療では、国内外の診療ガイドラインでソマトスタチンアナログ製剤のオクトレオチド酢酸塩(サンドスタチンLAR)やランレオチド酢酸塩(ソマチュリン)、分子標的薬のセリン・スレオニンキナーゼであるmTORの選択的阻害薬であるエベロリムス(アフィニトール)やマルチキナーゼ阻害薬のスニチニブリンゴ酸塩(スーテント)などが推奨されている。

 ルテチウムオキソドトレオチド(177Lu)は、ソマトスタチン誘導体であるTyr3-Octreotateにキレート剤のDOTAを介して、177Lu(放射性ルテチウム)で標識した、国内初となるペプチド受容体放射性核種療法(PRRT)で使用する放射性医薬品である。本薬はソマトスタチン受容体サブタイプ1~5(SSTR1~5)のうち主にSSTR2との結合を介して腫瘍細胞に集積し、半減期が6.647日の177Luから放出されるベータ線により、腫瘍細胞のDNA損傷を引き起こすことで腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

 SSTR陽性の切除不能または遠隔転移を有する膵臓、消化管または肺NET患者を対象とした国内第I/II相臨床試験(P-1515-12)、オクトレオチド投与中に増悪したSSTR陽性の切除不能または遠隔転移を有する消化管NET患者を対象とした海外第III相臨床試験(NETTER-1)において本薬の有効性と安全性が確認された。海外では2017年9月に欧州で承認されて以来、2021年5月現在、米国、カナダ、イスラエル、スイス、香港、シンガポール、韓国、台湾で承認されている。

 副作用として、悪心(60.6%)、嘔吐(42.5%)、食欲減退、下痢、腹部膨満、浮動性めまい、味覚障害、注射部位反応、脱毛症、疲労(各5%以上)などであり、重大なものは骨髄抑制(リンパ球減少[28.3%]、血小板減少[22.8%]、貧血[11.8%]など)、腎機能障害(急性腎不全[4.7%]、血中クレアチニン増加[3.1%]など)、骨髄異形成症候群(1.6%)が報告されており、急性骨髄性白血病の可能性もあるので十分注意する必要がある。

 なお、薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●本薬投与時には、腎臓への被曝低減を目的として、L-リシン塩酸塩およびL-アルギニン塩酸塩のみを含有したアミノ酸輸液(ライザケア輸液)を併用すること

●投与により副作用が発現した場合は、添付文書の「用法及び用量に関連する注意」の記載を参考に、休薬、減量または中止すること

●承認までの治験症例が限られていることから有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施すること

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