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【新薬】テデュグルチド (レベスティブ)
短腸症候群に対するGLP-2アナログ製剤が登場

2021/09/10
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年8月18日、ヒトグルカゴン様ペプチド(GLP)-2アナログ製剤テデュグルチド(遺伝子組換え)(商品名レベスティブ皮下注用3.8mg) が発売された。本薬は6月23日に製造販売が承認され、8月12日に薬価収載されていた。適応は「短腸症候群」、用法用量は「1日1回0.05mg/kgを皮下注射する」となっている。

 短腸症候群(SBS)は、腸管の大量切除により著明な消化吸収障害に陥り、日常生活および社会生活に支障を来す重篤でまれな病態である。SBSの病因は、乳幼児では壊死性腸炎や先天性異常、成人では腸間膜血管疾患、炎症性腸疾患および術後合併症が一般的である。腸管不全の主要原因となることから、健康および成長を維持するために長期的な水分および栄養補給などの継続的な経静脈サポート(PS)が必要となる。

 PSは必要な栄養および水分を補給することはできるものの、カテーテル関連感染症、敗血症、血栓症や腸管不全関連肝障害などの重篤な合併症を発症することや、患者と介護者の負担が大きく、生活の質(QOL)を低下させる恐れがある。また、国内でのSBS治療に確立された薬物療法はなく、主として食事療法、経口水分補給、止瀉薬、胃酸分泌抑制薬などの残存小腸機能の最適化に重点が置かれているのが現状であった。

 回腸や結腸に存在する腸管内分泌細胞から分泌されるGLP-2は、栄養素の吸収促進、腸管粘膜の維持および修復などの恒常性シグナルに寄与しているとされる。そして、このGLP-2を産生する腸セグメントを切除した患者は、腸吸収機能を調節する重要なホルモンを欠いていることから、十分な内因性GLP-2を産生できない可能性が高い。そのため、外因性GLP-2を患者に投与することは、経腸の主要な恒常性シグナルを回復させ、腸管順応を促す可能性があると考えられる。

 テデュグルチドは、33個のアミノ酸からなるペプチドで、天然型GLP-2と同一の受容体を介して作用する、天然型GLP-2の遺伝子組み換えアナログ製剤である。本薬は天然型GLP-2のN 末端2位のアラニンをグリシンに置換することにより、ジペプチジルペプチダーゼ(DPP)-4による分解を受けにくい。本薬はGLP-2と同様に、幹細胞増殖促進、上皮細胞アポトーシス抑制、胃酸分泌抑制などの作用を示すことが期待されている。

 成人SBS患者を対象とした国内第III相試験(単群非盲検試験)および海外第III相試験(二重盲検比較試験)、小児SBS患者を対象とした国内第III相試験(単群非盲検試験)および海外第III相試験(二重盲検比較試験)において、本薬の有効性および安全性が確認された。本薬は、日本外科学会から厚生労働省に対して早期開発・承認の要望が提出され、2014年4月の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で評価を受け、同年11月には希少疾病用医薬品に指定され、今回の開発・承認・発売に至った。なお、海外では2021年3月現在、欧米など40カ国以上で承認されている。

 主な副作用として、腹痛、注射部位反応(注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位疼痛など)、消化管ストーマ合併症(ストーマサイズの増大、ストーマ乳頭サイズの増大など)(10%以上)などであり、重大な副作用としては腸ポリープ(1.7%)、腸閉塞・消化管ストーマの閉塞(3.0%)、胆嚢・胆道障害(1.7%)、膵疾患(0.9%)、体液貯留(4.3%) が報告されているので十分注意する必要がある。

なお、薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●胃腸、肝胆道系または膵臓に悪性腫瘍を有する患者および過去5年以内に、胃腸、肝胆道系または膵臓に悪性腫瘍の既往歴のある患者には投与しないこと

●本薬は腸管の順応期間を経て、経静脈栄養量および補液量が安定した、あるいはそれ以上低減することが困難と判断された患者に投与すること

●中等度以上の腎機能障害(クレアチニンクリアランス 50mL/分未満)患者では、本薬の血中濃度が上昇することから、1回当たりの投与量は0.025mg/kgとすること

●承認までの治験症例が限られていることから、有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施すること

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