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【新薬】イメグリミン塩酸塩 (ツイミーグ)
ミトコンドリア機能を改善する新機序の糖尿病治療薬

2021/08/20
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年8月12日、糖尿病治療薬イメグリミン塩酸塩 (商品名ツイミーグ錠500mg) が薬価収載された。本薬は、6月23日に製造販売が承認されていた。適応は「2型糖尿病」であり、用法用量は「通常、成人には1回1000mgを1日2回朝、夕に経口投与」となっている。

 糖尿病は、インスリン作用不足による慢性の高血糖状態を主徴とする代謝疾患群であり、1型糖尿病と2型糖尿病に大別される。1型糖尿病は、インスリンを合成・分泌する膵ランゲルハンス島β細胞の破壊・消失によるインスリン作用不足が主要な原因である。一方、糖尿病患者の90%以上を占める2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性を来す素因を含む複数の遺伝因子に、過食(特に高脂肪食)、運動不足、肥満、ストレスなどの環境因子および加齢が加わり発症する。中でも、2型糖尿病は生活習慣や社会環境の変化に伴い、患者数は近年、増加傾向にある。2型糖尿病は進行性の代謝疾患であり、ライフスタイルの改善(運動療法や食事療法を含む)と薬物療法の組み合わせによる段階的な治療アプローチが必要とされている。

 具体的な薬物療法としては、単剤から治療を開始し、効果不十分な場合には作用機序が異なる経口糖尿病治療薬の多剤併用療法(配合薬を含む)が行われている。2型糖尿病の主な成因から、既存の主な経口薬は、インスリン分泌促進作用(スルホニル尿素[SU]薬、速効型インスリン分泌促進薬、DPP[ジペプチジルペプチダーゼ]-4阻害薬)とインスリン抵抗性改善作用(ビグアナイド薬、チアゾリジン薬)に大別されている。近年、膵ランゲルハンス島β細胞からのインスリン分泌低下および肝臓、筋肉などでのインスリン抵抗性の亢進に関して、要因の1つとしてミトコンドリア機能異常が挙げられている。

 イメグリミンは既存の経口糖尿病治療薬とは異なる構造を有しており、ミトコンドリアへの作用を介して、グルコース濃度依存的なインスリン分泌を促す膵作用と、肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する膵外作用(糖新生抑制・糖取り込み能改善)の2つの血糖降下作用を同時に有する新規の経口糖尿病治療薬である。

 日本人2型糖尿病患者を対象に、国内後期第2相試験を1試験(プラセボを対照とした二重盲検比較試験)および国内第3相試験を3試験(単剤療法、単剤および併用療法、インスリン併用療法)実施し、本薬の単剤および併用による血糖降下療法において有効性および安全性が確認された。

 副作用としては、悪心、下痢、便秘(1~5%未満)などがあり、重大なものは低血糖(6.7%)が報告されており、十分注意する必要がある。

 なお、薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●本薬の適用はあらかじめ糖尿病治療の基本である食事療法、運動療法を十分に行った上で効果が不十分な場合に限り考慮すること

●腎機能障害のある患者では、腎機能障害の程度に応じて腎臓からの排泄が遅延し、本薬の血中濃度が上昇する。中等度または重度(eGFR 45mL/分/1.73m2未満)の腎機能障害のある患者では有効性および安全性を指標とした臨床試験は実施しておらず、投与は推奨されない

●本薬とビグアナイド薬は作用機序の一部が共通している可能性があること、また、両剤を併用した場合、他の糖尿病治療薬との併用療法と比較して消化器症状が多く認められたことから、併用薬の選択には留意すること

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