日経メディカルのロゴ画像

【新薬】リスジプラム(エブリスディ)
脊髄性筋萎縮症に初の経口治療薬

2021/08/13
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年8月12日、脊髄性筋萎縮症治療薬リスジプラム(商品名エブリスディドライシロップ60mg)が薬価収載、発売された。本薬は6月23日に製造販売が承認されていた。用法用量は「生後2カ月以上2歳未満の患者に0.2mg/kg、2歳以上の患者には体重20kg未満で0.25mg/kg、体重20kg以上で5mgをそれぞれ1日1回食後投与」となっている。

 脊髄性筋委縮症SMA)は脊髄の前角細胞の変性による筋萎縮と進行性筋力低下を特徴とする常染色体劣性遺伝性神経筋疾患であり、具体的には、運動ニューロン維持に不可欠な運動神経細胞生存(SMN)蛋白質の欠乏により体幹、四肢の近位部優位の筋力低下、筋萎縮などの運動ニューロンの変性を示す。日本では、指定難病となっており、2019年度の特定医療費(指定難病)受給者証所持者数は884人である。SMAは発症年齢、臨床経過に基づき、I型、II型、III型、IV型に分類されている。特に、乳児期に発症するI型は、SMA患者の約半数を占めており、大部分の症例で機能性SMN蛋白質を産生するSMN1遺伝子の欠失または変異が認められている。また、ほぼすべてのSMA患者では、SMN1遺伝子の重複遺伝子であるSMN2も有していることが解明されている。

 現在、SMAの治療薬としては、アデノシン三リン酸二ナトリウム水和物(アデホス-Lコーワ)、アンチセンスオリゴヌクレオチドのヌシネルセンナトリウム(スピンラザ)、さらには2020年5月に発売された再生医療等製品のオナセムノゲン アベパルボベク(ゾルゲンスマ)と、いずれも注射薬が臨床使用されている。

 リスジプラムは低分子化合物であり、SMN2遺伝子のmRNA前駆体における完全長SMN2 mRNAスプライシングに作用するSMN2スプライシング修飾薬である。経口投与により全身に分布し、中枢神経系および全身の機能性SMNタンパク質を増加させることで、SMAに対して効果を示すことが期待されている。また、本薬は1日1回投与のため、在宅での治療が可能であり、既存の注射薬と比べて患者に対する負担が少ない。

 リスジプラムは、国際共同第II/III相試験(I型脊髄性筋萎縮症、FIREFISH試験)および国際共同第II/III相試験(II型およびIII型脊髄性筋萎縮症、SUNFISH試験)において有効性および安全性が検証された。海外では、2021年3月現在、欧米で承認されている。また、日本では、2019年3月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 副作用としては、発疹(3%以上)、上気道感染、皮膚変色(各3%未満)が報告されており、下痢、口腔内潰瘍形成の可能性もあるので十分注意する必要がある。

 なお薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。
 
●事前に遺伝子検査によりSMN1遺伝子の欠失または変異を有し、SMN2遺伝子のコピー数が1以上であることが確認された患者に投与すること

●本薬が口腔内に残るのを防ぐため、服用後に水を飲ませること

●調製時は、79mLの精製水を瓶に加えて施栓後、瓶内の粉末が溶解するまで、よく振り混ぜて、0.75mg/mLの溶液80mLとすること

●本薬に添付されている経口投与用ディスペンサーを使用して服用させること

 なお、本薬は日本人での投与経験が極めて限られていることから、製造販売後一定期間は全症例を対象に使用成績調査を実施することが承認条件とされている。

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ