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【新薬】レレバクタム水和物/イミペネム水和物/シラスタチンナトリウム(レカルブリオ)
新規βラクタマーゼ阻害薬配合のカルバペネム系抗菌薬

2021/07/30
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年6月23日、抗菌薬レレバクタム水和物(REL)/イミペネム水和物(IMP)/シラスタチンナトリウム(CS)配合薬(商品名レカルブリオ配合点滴静注用)の製造販売が承認された。本薬1バイアル(1.25g)中にREL250mg、IMP500mg、CS500mgが含有されている。適応菌種は「カルバペネム系抗菌薬に耐性を示す、本薬に感性の大腸菌、シトロバクタ―属、クレブシエラ属、エンテロバクター属、セラチア属、緑膿菌、アシネトバクター属」で、適応症は「各種感染症」である。用法用量は「成人には1回1.25gを1日4回30分かけて点滴静注」となっている。

 グラム陰性菌は敗血症、肺炎、尿路感染症、腹腔内感染症等の原因菌であるが、近年、薬剤耐性菌の出現が世界的に問題となっている。特にカルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)およびカルバペネム耐性緑膿菌等のカルバペネム耐性グラム陰性菌の動向が注目されている。
 2017年、世界保健機関(WHO)は「新規抗菌薬が緊急に必要な薬剤耐性菌リスト」で、CREを基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)産生菌などと並び、緊急性が最も高い薬剤耐性菌として位置付けており、2019年、米疾病対策センター(CDC)もCREを最も脅威レベルが高い薬剤耐性菌に指定している。

 日本においてもCRE感染症および薬剤耐性緑膿菌(IMP、アミカシン硫酸塩[AMK]、シプロフロキサシン塩酸塩[商品名シプロキサン他、CPFX]の3剤すべてに耐性の緑膿菌)感染症は、それぞれ5類感染症の全数把握対象疾患および基幹定点医療機関からの届出対象疾患に指定されている。一般的に、CREやカルバペネム耐性緑膿菌による重篤な感染症は予後不良であるため、カルバペネム耐性菌感染症に対する有効性および安全性を兼ね備えた新規抗菌薬の開発が急務とされている。

 レカルブリオは、既存のIMP・CS配合薬(チエナム他)に新規のβラクタマーゼ阻害薬(BLI)であるRELを追加した新規のカルバペネム系配合薬である。カルバペネム系抗菌薬IMPは、細菌のペニシリン結合蛋白質に作用し、細胞壁合成を阻害することでグラム陽性、グラム陰性の好気性菌および嫌気性菌に強い抗菌作用を示す。しかし、IMPは腎の酵素dehydropeptidase-Ⅰにより代謝を受けて不活化され、動物実験では腎毒性も見られる。抗菌活性を持たないCSは、IMPの腎での不活化や腎毒性を抑制する。また、RELもCSと同様に抗菌活性を持たないものの、カルバペネム耐性機序に関わるklebsiella pneumoniae carbapenemase(KPC)型カルバペネマーゼを含む多くのAmblerクラスAおよびクラスCのβラクタマーゼを阻害することで、IMPがこれらの酵素により加水分解されるのを防ぐ。これらのことから、レカルブリオはカルバペネム耐性グラム陰性菌による感染症に対して効果を発揮することが期待されている。

 院内肺炎または人工呼吸器関連肺炎、複雑性腹腔内感染症、複雑性尿路感染症のIMP耐性菌(中等度耐性を含む)感染症患者を対象とした国際共同第III相試験013試験(対照群:コリスチンメタンスルホン酸ナトリウム[商品名オルドレブ]+IMP/CS)において、本薬の有効性と安全性が確認された。

 副作用として、腎クレアチニンクリアランス減少(3%以上)、高血糖、全身性強直性間代性発作、発熱、注入部位紅斑(各3%未満)などであり、重大なものは中枢神経症状、ショック、アナフィラキシー、中毒性表皮壊死融解症(TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、重篤な肝障害、気管支痙攣、間質性肺炎、PIE症候群、重篤な血液障害、重篤な腎障害、偽膜性大腸炎、血栓性静脈炎を生じる可能性があるので十分注意する必要がある。

 なお、薬剤使用に際しては、下記の事項についても留意しておかなければならない。

●他のβ‐ラクタム系抗菌薬に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者、バルプロ酸ナトリウム投与中の患者には禁忌である

●腎機能障害(クレアチニンクリアランス[Ccr]90mL/分未満)患者にはCcrの程度によって用量を調節すること(添付文書参照)


【参考文献】
・WHO:WHO publishes list of bacteria for which new antibiotics are urgently needed
・CDC:Biggest Threats and Data | Antibiotic/Antimicrobial Resistance

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