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【新薬】ペミガチニブ(ペマジール)
FGFR2融合遺伝子陽性の切除不能胆道癌に対するFGFR阻害薬

2021/07/02
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年6月1日、抗悪性腫瘍薬ペミガチニブ(商品名ペマジール錠4.5mg)が発売された。本薬は3月23日に製造販売が承認、5月19日に薬価収載されていた。適応は「がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌」、用法用量は「通常、1日1回13.5mgを14日間経口投与した後、7日間休薬する。これを1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 胆道癌の中でも、胆管に発生する希少な癌である胆管癌は、肝臓内の胆管に発生する肝内胆管癌と、肝臓外の胆管に発生する肝外胆管癌に分類される。胆管癌は、診断された時点で進行期あるいは末期であることが多く、概して予後不良である。また、正常な線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)遺伝子から産生されるFGFRは、組織の発生およびリモデリング、血管新生並びに代謝を含む重要な生理学的過程に関与する受容体型チロシンキナーゼであり、線維芽細胞増殖因子(FGF)リガンドと結合して細胞内シグナル伝達を活性化する。ヒトにおいて、FGFRは4種類(FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4)が同定されている。

 胆管癌患者では、肝内胆管癌において、FGFR経路の遺伝子異常として、FGFR2融合遺伝子が高頻度に認められる。このFGFR融合遺伝子は、癌の原因となる異常な遺伝子であり、FGFR遺伝子が他の遺伝子と融合して発生する。この異常な遺伝子であるFGFR融合遺伝子から産生されるFGFR融合蛋白は、リガンド非依存的にチロシンキナーゼを活性化することにより、腫瘍細胞を増殖させると考えられる。

 従来、切除不能の胆道癌に対する化学療法として、ゲムシタビン塩酸塩(GEM;ジェムザール他)単独、テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム(S-1;ティーエスワン他)単独療法、ゲムシタビン塩酸塩+シスプラチン(CDDP;ランダ他)(GC)併用療法が保険適応となっている。しかし、治療選択肢が限られているのが現状であった。

 ペミガチニブはFGFR1、FGFR2、FGFR3に選択性を示すFGFR阻害薬であり、FGFRチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。FGFR融合蛋白などのリン酸化が阻害され、下流のシグナル伝達分子のリン酸化が阻害されることで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。ペミガチニブは、化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆管癌患者を対象とした国際共同第2相試験(INCB 54828-202試験)において有効性および安全性が検証された。海外では、2021年3月現在、欧米で発売されている。日本では、2021年2月に希少疾病用医薬品に指定されていた。

 副作用として、脱毛症(57.0%)、味覚異常(45.8%)、爪の障害(44.9%)、口内炎(43.0%)、下痢 (42.1%)などが認められており、重大な副作用としては高リン血症(53.3%)、網膜剝離(1.9%)が報告されている。

なお、薬剤使用に際しては、下記の事項について十分留意する。
・投与対象となるFGFR2融合遺伝子陽性患者を特定するために、コンパニオン診断プログラム「FoundationOne CDxがんゲノムプロファイル」を用いる
・本薬の重大な副作用である高リン血症の治療に対して、炭酸ランタン水和物(炭酸ランタン顆粒分包「ニプロ」 )が適応追加された
・承認までの治験症例が限られていることから有効性および安全性に関するデータ収集のために、全使用症例で使用成績調査を実施する

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