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【新薬】ダラツムマブ/ボルヒアルロニダーゼ アルファ(ダラキューロ)
多発性骨髄腫に抗CD38抗体皮下注製剤が登場

2021/06/25
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年5月19日、抗悪性腫瘍薬ダラツムマブボルヒアルロニダーゼ アルファ(商品名ダラキューロ配合皮下注)が薬価収載と同時に発売された。本薬は3月23日に製造販売が承認されていた。適応は「多発性骨髄腫」であり、用法用量は「他の抗悪性腫瘍薬との併用において、通常、1回15mL(ダラツムマブとして1800mg、ボルヒアルロニダーゼ アルファとして3万単位)を併用する抗悪性腫瘍薬の投与サイクルを考慮して、次のA法またはB法の投与間隔で皮下投与する。A法:1週間間隔、2週間間隔および4週間間隔の順で投与。B法:1週間間隔、3週間間隔および4週間間隔の順で投与」となっている。

 多発性骨髄腫MM)は、再発を繰り返す難治性の造血器腫瘍で、骨髄でつくられる白血球の一種である形質細胞が癌化する疾患である。MMでは貧血、腎障害、骨痛および骨折、血液中のCa値上昇などの症状が発現する。日本におけるMMの罹患者数は約1万8000人と推定されている。

 従来、MM治療には複数のレジメンが用いられており、プロテアソーム阻害薬の注射薬ボルテゾミブ(ベルケイド)、カルフィルゾミブ(カイプロリス)、経口薬イキサゾミブ(ニンラーロ)や免疫調節薬サリドマイド(サレド)、レナリドミド(レブラミド)、ポマリドミド(ポマリスト)、さらにヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬パノビノスタット(ファリーダック)、ヒト化抗ヒトSLAMF7モノクローナル抗体エロツズマブ(エムプリシティ)、抗CD38モノクローナル抗体イサツキシマブ(サークリサ)およびダラツムマブ(ダラザレックス)が使用されている。

 抗CD38モノクローナル抗体のダラツムマブは、MMを含む造血器悪性腫瘍の腫瘍細胞表面に発現するヒトCD38抗原に結合することで、抗悪性腫瘍効果を発揮するヒト型免疫グロブリンG1κモノクローナル抗体である。具体的にはCD38に結合し、補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貧食(ADCP)作用などにより、腫瘍の増殖を抑制する。さらに、Fc領域の架橋形成によるアポトーシス誘導およびCD38酵素活性の調節作用なども有している。日本では、ダラツムマブの点滴静注製剤が使用されているが、投与によるinfusion reactionを予防するために、投与に際して多量の輸液(500~1000mL)と、3~7時間の長い投与時間を要することから、医療従事者および患者の負担が多いのが課題となっていた。

 ダラキューロは、1バイアル(15mL)中にダラツムマブ1800mgとボルヒアルロニダーゼ アルファ(rHuPH20)3万単位を配合した皮下投与製剤である。配合されているrHuPH20は、ヒアルロン酸を分解する遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH-20類縁体であり、皮下間隙における細胞外マトリックス中のヒアルロン酸を基質とし、ヒアルロン酸の構成成分であるN-アセチルグルコサミンとグルクロン酸の結合を加水分解し、ヒアルロン酸を脱重合する。ダラキューロはrHuPH20が配合されていることで、皮下組織にダラツムマブを注入する際の抵抗が減少し、吸収と拡散が促進されると考えられており、有効用量のダラツムマブを皮下投与することが可能となった。

 再発または難治性のMM患者を対象とした国際共同第3相試験(MMY3012試験)において、既存の点滴静注製剤単独療法に対する本薬単独皮下投与の非劣性が検証された。さらに、国際共同第2相試験(MMY2040試験)において、本薬/レナリドミド/デキサメタゾン併用療法(対象:再発または難治性MM患者)、本薬/ボルテゾミブ/メルファラン/プレドニゾロン併用療法(対象:未治療のMM患者)の有効性および安全性も確認された。本薬は2020年11月現在、MMに対する適応で、世界7の国または地域で承認されている。

 副作用としては、上気道感染、貧血、下痢、発熱、疲労、注射部位反応(各5%以上10%未満)などが認められている。重大な副作用としては、infusion reaction(25.8%)、好中球減少(16.6%)や血小板減少(14.3%)などの骨髄抑制、肺炎(3.6%)などの感染症、間質性肺疾患(0.5%)が報告されており、腫瘍崩壊症候群を生じる可能性もある。

 また、薬剤使用に際しては、下記の事項について十分留意する。
・infusion reactionを軽減させるために、本薬投与開始1~3時間前にステロイド薬、解熱鎮痛薬および抗ヒスタミン薬を投与すること。また、遅発性のinfusion reactionを軽減させるために、必要に応じて本薬投与後にステロイド薬などを投与すること
・infusion reactionが発現した場合、副作用のGrade(NCI-CTCAE v4.0に準じる)に応じて、以下のように本薬の投与中止、投与速度の変更など、適切な処置を行うこと
-Grade 3のinfusion reactionが3回発現した場合は投与を中止する
-Grade 4のinfusion reactionが発現した場合は投与を中止する

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