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【新薬】デニロイキン ジフチトクス(レミトロ)
難治性のPTCLとCTCLを治療する抗悪性腫瘍薬に新たな選択肢

2021/06/18
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年5月19日、抗悪性腫瘍薬デニロイキン ジフチトクス(商品名レミトロ点滴静注用300μg)が薬価収載と同時に発売された。本薬は3月23日に製造販売が承認されていた。適応は「再発または難治性の末梢性T細胞リンパ腫/皮膚T細胞性リンパ腫」であり、用法用量は「通常、成人に1日1回9μg/kgを1時間かけて5日間点滴静注後、16日間休薬する。この21日間を1サイクルとして、最大8サイクル投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 非ホジキンリンパ腫の一種である末梢性T細胞リンパ腫PTCL)および皮膚T細胞性リンパ腫CTCL)は、いずれも極めて希少な疾患であり、予後が不良であることが報告されている。

 中悪性度に分類されているPTCLは、進行期になってから発見されることが多く、リンパ節の腫れやしこり、発熱、大量の寝汗、体重減少などの症状が現れる。また、PTCLのうち、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性未分化大細胞リンパ腫以外の病型では、60歳前後に発症することが多いといわれている。

 様々な病型を持つ皮膚原発性のCTCLは、免疫機構に関与するT細胞の一部ががん化して、皮膚病変が起こり、疼痛や掻痒感などが生じる。CTCLは、一般的に悪性度の低いリンパ腫とされているものの、緩徐に進行し、数年から十数年かけて腫瘍期へと移行する。腫瘍期へと移行した場合は、リンパ節や内臓に浸潤が認められるなど悪性度が高くなる。

 再発または難治性のPTCLおよびCTCLの治療では、PTCLに対してモガムリズマブ(ポテリジオ)、ブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)、フォロデシン(ムンデシン)、プララトレキサート(ジフォルタ)、ロミデプシン(イストダックス)、CTCLに対してモガムリズマブ、ボリノスタット(ゾリンザ)、ベキサロテン(タルグレチン)が臨床使用されているものの、標準的な治療は確立されていないのが現状である。

 レミトロは、ジフテリア毒素(DT)の部分アミノ酸配列(DTドメイン)とヒトインターロイキン-2(IL‒2)の全配列を融合した遺伝子組換え融合蛋白である。本薬は、腫瘍細胞の細胞膜上に発現するIL‒2受容体に結合し、細胞内に取り込まれた後にDTドメインが切断され、遊離したDTのN末端断片(酵素活性部位)が蛋白合成を阻害することなどにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

 全身化学療法による治療歴を有する再発または難治性のPTCLおよびCTCL患者を対象とした国内第Ⅱ相臨床試験(国内205試験)の結果から、本薬の有効性と安全性が確認された。国内では、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」(2010年4月)において評価され、2010年5月に厚生労働省から開発要請を受けていた。

 副作用としては低アルブミン血症(30%以上)などが認められており、重大な副作用としては、AST上昇(89.2%)・ALT上昇(86.5%)などの肝機能障害、リンパ球減少(70.3%)などの骨髄抑制、Infusion reaction(51.4%)、感染症(18.9%)、毛細血管漏出症候群(13.5%)、横紋筋融解症、不整脈(各5.4%)、視力障害(2.7%)などが報告されている。色覚異常、虚血性心疾患、心不全、重度の皮膚障害を生じる可能性もある。

 また、薬剤使用に際しては、下記の事項について十分留意する。

・毛細血管漏出症候群の発現で死亡に至った症例が報告されている。本剤投与の前後に生理食塩液などの輸液を行うことを考慮するとともに、本剤の投与開始前および投与期間中は定期的に血清アルブミン値、血圧、脈拍、体重の測定を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。低血圧、浮腫、低アルブミン血症、体重増加、肺水腫、胸水、腹水、血液濃縮などが認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。なお、毛細血管漏出症候群の発現後に、横紋筋融解症を発現し死亡に至った症例も報告されている。

・失明を含む重篤な視力障害および色覚異常が現れ、回復しなかった症例も報告されている。眼科医との連携の下で使用し、本剤の投与開始前および投与期間中は定期的に眼科検査を実施し、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

・承認までの治験症例が限られていることから、有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施すること。

 なお、2020年10月現在、海外で本薬が承認されている国または地域はない。米国では、デニロイキン ジフチトクス製剤として、本薬と原薬が異なる薬剤が承認されていたが、製剤純度の向上について未対応であったことから、本薬への切り替えのための臨床試験を実施中である。

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