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【新薬】ジクロフェナク経皮吸収型製剤(ジクトルテープ)
癌疼痛に初の経皮吸収型NSAIDsが登場

2021/05/28
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年5月21日、持続性癌疼痛治療薬ジクロフェナクナトリウムの経皮吸収型製剤(商品名ジクトルテープ75mg)が発売された。本製剤は、3月23日に製造販売が承認され、5月19日に薬価収載されていた。適応は「各種癌における鎮痛」であり、用法用量は「通常、成人に1日1回、2枚(150mg)を胸部、腹部、上腕部、背部、腰部または大腿部に貼付し、1日(約24時間)ごとに貼り替える。なお、症状や状態により1日3枚(225mg)に増量可能」となっている。

 癌疼痛の出現頻度は癌の進行に伴って高くなり、身体的苦痛になるだけでなく、心理的・社会的にも影響を及ぼし、患者のQOLおよびADLを著しく低下させる。国内外のガイドラインにおいて、癌疼痛の薬物療法は患者の痛みの程度に応じて選択し、非オピオイド鎮痛薬である非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)もしくはアセトアミノフェン、またはオピオイド鎮痛薬などを、患者の状態に応じてそれぞれ単剤または併用で投与することになっている。中でもNSAIDsとオピオイド鎮痛薬との併用は、相加または相乗的な鎮痛効果も期待されている。しかし、国内では、NSAIDsを含めた非オピオイド鎮痛薬のうち、癌疼痛に対して使用できる製剤は経口薬と注射薬に限られていた。

 ジクロフェナクナトリウムは、フェニル酢酸系のNSAIDsであり、シクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで鎮痛作用および抗炎症作用を示す。他のNSAIDsと比較してジクロフェナクナトリウムは、主に炎症部位で発現が誘導されるCOX-2阻害活性が高いことが示されている。国内ではこれまでに、錠剤、徐放性カプセル剤、坐剤、点眼剤、ゲル剤、注腸剤、テープ剤、パップ剤、ローション剤およびクリーム剤が各診療科領域で広く臨床使用されている。

 ジクトルはジクロフェナクナトリウムの経皮吸収型製剤で、世界初の経皮吸収型NSAIDsの持続性癌疼痛治療薬となる。1日1回の貼付で、24時間安定した血漿中薬物濃度を維持し、癌疼痛を持続的に抑える効果が期待できる。本製剤は、原疾患または抗癌薬治療などに伴う悪心や嘔吐、嚥下困難、消化管閉塞などにより経口薬の摂取が困難な癌疼痛患者において有用な製剤であると期待されている。

 癌疼痛患者を対象とした2つの国内第3相臨床試験(ランダム化治療中止プラセボ対照二重盲検比較試験および非盲検長期投与試験)から、本薬の有効性と安全性が確認された。

 副作用として、適用部位そう痒感(5%以上)、適用部位紅斑、上腹部痛、AST上昇、ALT上昇、クレアチニン上昇(各1〜5%未満)などが認められている。重大な副作用としては、ショック、アナフィラキシー、出血性ショックまたは穿孔を伴う消化管潰瘍、消化管の狭窄・閉塞、再生不良性貧血、溶血性貧血、無顆粒球症、血小板減少症、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis;TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)、急性腎障害(間質性腎炎、腎乳頭壊死など)、ネフローゼ症候群、重症喘息発作(アスピリン喘息)、間質性肺炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、無菌性髄膜炎、重篤な肝機能障害、急性脳症、横紋筋融解症、脳血管障害などを生じる可能性がある。

 薬剤使用に際して、下記の事項について留意する
・本製剤3枚貼付時の全身曝露量が、同成分の経口薬の通常用量投与時と同程度に達することから、1日貼付枚数は3枚を超えないこと
・本製剤は、従来から使用されている同成分の既存剤形製剤と適応症が異なること
・本製剤投与時は、他の全身作用を期待する消炎鎮痛剤との併用は可能な限り避けることとし、やむを得ず併用する場合には、必要最小限の使用にとどめ、患者の状態に十分注意すること

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