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【新薬】ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム(ジョイクル)
変形性関節症にヒアルロン酸・ジクロフェナク共有結合化合物製剤が登場

2021/05/14
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年3月23日、関節機能改善薬ジクロフェナクエタルヒアルロン酸ナトリウム(商品名ジョイクル関節注30mg)の製造販売が承認された。適応は「変形性関節症(膝関節、股関節)」であり、用法用量は「通常、成人1回30mgを4週間ごとに関節腔内に投与」となっている。

 変形性関節症OA)は、関節軟骨をはじめとする関節構成体の退行変性に起因する関節疾患で、肩関節や膝関節、股関節などの四肢関節、手指関節、脊髄などで疼痛、腫脹、変形および可動域制限などが生じる。これらの症状が患者のADLやQOLを低下させることが問題となる。国内における変形性膝関節症(膝OA)の有症患者数は約780万人で、女性に多く、70歳代女性の約70%が罹患していると推計されている。

 OAの管理には、運動療法、減量などの非薬物療法と薬物療法が併用されている。薬物療法では病状軽減を目的として、主にジクロフェナク(DF)などの非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)の経口薬や外用薬、アセトアミノフェンの経口薬などが用いられる。さらに、ヒアルロン酸ナトリウム(HA)や副腎皮質ステロイドの関節腔内投与も考慮される。しかし、疼痛の緩和や関節機能の改善を目的としたHAの関節腔内注射(IA-HA)は、OAのうち膝OAのみに適応が限定されている。また、短期的な疼痛緩和に有用とされる副腎皮質ステロイドの関節腔内注射薬は、頻回使用による感染や関節破壊の恐れがあるため、年4回以上の使用は一般的には推奨されていない。さらに、OAの初期治療薬として使用されるNSAIDsについては、消化管障害や心血管系へのリスクから、長期的な使用は可能な限り回避するよう推奨されており、特にリスク因子を有する患者への使用は注意が必要となっている。

 ジョイクルは、HAとDFを共有結合した製剤であり、関節機能改善薬として変形性股関節症の適応を有する国内初となる薬剤である。本薬自体はシクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害活性を持たないものの、関節腔内に投与された後、DFを投与局所で遊離することにより、持続的な消炎鎮痛作用を示す。具体的には、滑膜組織に移行したDFがCOX-2を阻害し、プロスタグランジンEの産生を抑制する。さらに、滑膜細胞における高分子量HAの産生促進、軟骨細胞におけるマトリックスメタロプロテアーゼ類の産生抑制により、IA-HAと同様の関節機能改善作用が期待される。

 OA患者を対象とした2つの国内第3相試験(613/1031試験:膝関節、613/1033試験:肩・肘・股・足関節)において、プラセボを対照とした本薬の有効性と安全性が検証された。

 主な副作用は、注射部位関節痛(1~5%未満)などであり、重大な副作用としてはショック、アナフィラキシー(0.4%)が報告されている。

 薬剤使用に際して、下記の事項について留意する。
・他のNSAIDsと同様に、アスピリン喘息またはその既往歴を有する患者には禁忌となっている
・本薬の投与により、局所痛が現れることがあるため、投与後の局所安静などを患者に指示する
・本薬が関節腔外に漏れると疼痛を起こす恐れがあるため、関節腔内に確実に投与する
・投与関節の炎症または関節液貯留が著しい場合は、本薬の投与により局所炎症症状の悪化を招く恐れがあるため、炎症症状を抑えてから本薬を投与するのが望ましい

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