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【新薬】ポラツズマブ ベドチン(ポライビー)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を治療する抗体薬物複合体製剤

2021/05/07
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年3月23日、悪性リンパ腫治療薬ポラツズマブ ベドチン(商品名ポライビー点滴静注用30mg、同点滴静注140mg)の製造販売が承認された。適応は「再発または難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫」、用法用量は「ベンダムスチン塩酸塩およびリツキシマブとの併用において、成人1回1.8mg/kgを3週間間隔で6回点滴静注。初回投与時は90分かけて投与し、忍容性が良好であれば2回目以降は投与時間を30分間まで短縮可能。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、非ホジキンリンパ腫(NHL)のサブタイプの一つであり、月単位で進行する中悪性度の疾患に分類されている。DLBCLの患者数はNHLの中で30~40%と最も多く、60歳代を中心とした中高年齢層で多く発症するとされる。DLBCLの標準治療はリツキシマブ(リツキサン他)と化学療法の併用であるが、約40%の症例で再発が認められている。また、再発または難治性のDLBCLに対しては自家造血幹細胞移植(ASCT)が考慮されるが、ASCT実施前の救援化学療法が奏功しない、または年齢や合併症によりASCTを実施できない場合があることが課題となっていた。

 ポラツズマブ ベドチンは、抗CD79bヒト化IgG1モノクローナル抗体(ポラツズマブ)と微小管重合阻害作用を持つ低分子薬剤(モノメチルアウリスタチンE;MMAE)を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体(ADC)である。腫瘍細胞の細胞膜上に発現するCD79bに結合し、選択的に細胞内へ取り込まれた後、プロテアーゼによりリンカーが切断され、MMAEが細胞内に放出される。このMMAEが微小管に結合し、細胞分裂を阻害してアポトーシスを誘導するなどにより、腫瘍増殖抑制作用を発揮する。なお、リンパ腫に対するADC製剤としては、「CD30陽性のホジキンリンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫」の適応でブレンツキシマブ ベドチン(アドセトリス)が2014年4月より臨床使用されている。

 ASCTの適応とならない再発または難治性のDLBCL患者を対象として、ベンダムスチン(トレアキシン)+リツキシマブ併用療法を対照に行った海外第1b/2相試験(GO29365試験)、および国内第2相試験(JO40762試験[P-DRIVE試験])において、本薬の有効性と安全性が確認された。海外では、2020年11月現在、米国およびEUなど世界54の国または地域で承認されている。また、日本では、2019年11月に希少疾病用医薬品に指定されている。

 副作用(臨床検査値異常を含む)として、悪心(29.5%)、下痢(23.0%)、食欲減退(20.5%)、発熱、疲労(各16.4%)、便秘、嘔吐(各15.6%)などが認められている。重大な副作用としては、好中球減少(47.5%)などの骨髄抑制(67.2%)、Infusion reaction(29.5%)、感染症(21.3%)、末梢性ニューロパチー(20.5%)、肝機能障害(10.7%)、腫瘍崩壊症候群(2.5%)が報告されており、進行性多巣性白質脳症(PML)を生じる可能性もある。

 本薬は承認までの治験症例が限られていることから有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施することが承認条件となっている。

 なお、本薬の承認と同時に、ベンダムスチン(トレアキシン点滴静注用25mg、同点滴静注用100mg)については、リツキシマブとの併用療法に対して「再発または難治性のDLBCL」の適応が追加された。

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