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【新薬】アナモレリン(エドルミズ)
がん悪液質に初の治療薬、GH分泌と食欲を亢進

2021/04/09
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年1月22日、がん悪液質治療薬アナモレリン塩酸塩(商品名エドルミズ錠50mg)の製造販売が承認された。適応は「非小細胞肺癌、胃癌、膵癌、大腸癌におけるがん悪液質」、用法用量は「1日1回100mgを空腹時に経口投与」となっている。

 がん悪液質は、欧州緩和ケア研究共同研究会(EPCRC)の診療ガイドラインで「従来の栄養サポートで改善することは困難で、進行性の機能障害をもたらし、(脂肪組織の減少の有無にかかわらず)著しい筋組織の減少を特徴とする複合的な代謝障害症候群である。病態生理的には、経口摂取の減少と代謝異常による負の蛋白、エネルギーバランスを特徴とする」と定義されている。悪液質発生のメカニズムは、いまだ不明な点も多い。また、癌種により悪液質を生じにくいものもあり、その進行速度も様々である。

 悪液質は、一般に癌の進行に伴い、次第に致死的となる不可逆性の栄養不良に進展していく。悪液質に対する治療介入の臨床的意義は、食欲を増進し、骨格筋や臓器組織などから構成される除脂肪体重の減少(体重減少)を阻止することとされている。このことから、明らかな悪液質の症状を呈さず、代謝異常が軽度な状態から栄養サポートを行うことが栄養不良の進展の遅延、さらには抗がん治療への耐用性の向上が可能となると考えられている。一方、現時点では悪液質の症状を呈した状態における治療としては栄養療法などが行われているものの、代謝異常に起因するがん悪液質を改善することができないのが現状であった。

 アナモレリンは、成長ホルモン(GH)分泌促進作用や食欲亢進作用を有する経口低分子グレリン様作用薬で、日本初のがん悪液質治療薬である。ペプチドホルモンの一種であるグレリンは、GH放出促進因子受容体タイプ1a(GHS-R1a)の内因性アゴニスト。GH分泌促進や食欲亢進作用に加え、体重増加、脂肪生成促進、糖代謝への関与、消化管運動調節、サイトカイン産生などの生理作用を示すことが確認されている。

 悪液質に対する2つの国内臨床試験(非小細胞肺癌患者を対象としたONO-7643-04試験、大腸癌、胃癌または膵癌患者を対象としたONO-7643-05試験)において、本薬の有効性と安全性が検証された。

 副作用(臨床検査値異常を含む)としては、γ-GTP増加(6.4%)、グリコヘモグロビン増加(5.9%)などが認められており、重大な副作用としては、心電図異常などの刺激伝導系抑制(10.7%)、高血糖、糖尿病の悪化(各4.3%)、肝機能障害(6.4%)が報告されている。

 薬剤使用に際して、下記の事項について十分留意しておく必要がある。
・食事の影響を避けるために「空腹時に服用し、服用後1時間は食事をしないこと」を患者に指導すること
・有効性および安全性に関するデータ収集のために、全症例で使用成績調査を実施すること
・製薬会社から本薬の適正使用およびがん悪液質患者の安全性確保を目的として、患者選択および本薬に特徴的な副作用対策について解説した文書が公表されているので熟読すること

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