日経メディカルのロゴ画像

【新薬】シモクトコグ アルファ(ヌーイック)
ヒト細胞由来の血液凝固第VIII因子製剤

2021/04/02
北村 正樹=医薬情報アドバイザー

 2021年1月22日、血液凝固第VIII因子製剤シモクトコグ アルファ(商品名ヌーイック静注用250、同静注用500、同静注用1000、同静注用2000、同静注用2500、同静注用3000、同静注用4000)の製造販売が承認された。製剤としては、薬剤バイアルと添付溶解液のプレフィルドシリンジ(注射用水2.5mL)からなる。適応は「血液凝固第VIII因子欠乏患者における出血傾向の抑制」、用法用量は「通常、1回10~30国際単位/kgを4mL/分を超えない速度で緩徐に静注」となっている。なお、定期的に投与する場合の詳細な用法用量は、添付文書を参照されたい。

 血友病A(先天性血液凝固第VIII因子欠乏症)は、血液凝固第VIII因子(FVIII)の機能的欠損を特徴とするX染色体連鎖劣性遺伝性の出血性疾患であり、主に男性に発症する。正常な血液凝固能が障害されるため、同じ部位で何度も出血を繰り返す、出血が長時間にわたるといった出血症状を呈する。出血に伴う合併症としては、関節内出血による関節の重度の腫れや痛み、関節障害、それによる身体障害がある。また、頭蓋内出血など致死的な出血を引き起こす危険性もある。血友病は全世界で約40万人が罹患しており、そのうち、血友病Aは最も多いタイプの血友病で、日本では約5000人が罹患している。

 血友病Aの治療としてはFVIII製剤による補充療法(定期的、出血時、周術期の投与)が標準的治療法とされており、ルリオクトコグ アルファ(アドベイト)、ツロクトコグ アルファ(ノボエイト)などが世界中で広く臨床使用されている。近年、定期的にFVIII製剤を投与することで微小出血を抑制し予後を改善する定期補充療法が広がっており、投与間隔を延長するため、体内でのFVIIIの活性時間を延長させた製剤オクトコグ ベータ(コバールトリイ)、エフラロクトコグ アルファ(イロクテイト)、ロノクトコグ アルファ(エイフスチラ)および、ペグ化製剤ルリオクトコグ アルファ ぺゴル(アディノベイト)、ツロクトコグ アルファ ペゴル(イスパロクト)、ダモクトコグ アルファ ペゴル(ジビイ)が使用されている。さらに、FVIIIの機能を代替する抗血液凝固第IXa/X因子ヒト化二重特異性モノクローナル抗体エミシズマブ(ヘムライブラ)も臨床使用されている。

 ヌーイックはヒト胎児由来腎細胞から産生される第4世代の組換え型FVIII製剤。そのため、他の動物由来の細胞から産生された蛋⽩質で⾒られるような、ヒトの蛋⽩質とは異なる翻訳後修飾(糖鎖付加)が認められない。また、FVIIIの凝固活性に関与しないB ドメインを除去しているほか、化学修飾や他の蛋白質との融合を行っていないことも本薬の特徴である。

 既治療の重症血友病A患者を対象とした国際共同第3b相臨床試験(18歳以上、日本人を含む)、海外第3相試験(2~12歳の小児)、海外第2相試験(12~65歳)、海外第3b相試験(18歳以上)、および治療歴のない重症血友病A患者を対象とした海外第3相試験にて、出血時治療および定期的補充療法などにおける有効性および安全性が検証された。海外では、2021年2月現在、欧米など世界50以上の国と地域で承認されている。

 副作用としては、発疹、発熱、インヒビターの発生(各1%以上)などが認められており、重大な副作用として、ショック、アナフィラキシーを生じる可能性もある。

 薬剤使用に際して、下記に留意しておかなければならない。
・本薬は特定生物由来製品ではないが、血液製剤代替医薬品であることから、本薬を投与または処方した場合は、医薬品名(販売名)、製造番号、投与または処方した日、投与または処方を受けた患者の氏名、住所などを記録し、少なくとも20年間は保存すること

  • 1
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

この記事を読んでいる人におすすめ