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【新薬】ガルカネズマブ(エムガルティ)
片頭痛発作を抑制する初の抗体製剤が登場

2021/03/12
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2021年1月22日、片頭痛発作治療薬ガルカネズマブ(商品名エムガルティ皮下注120mgオートインジェクター、同皮下注120mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応は「片頭痛発作の発症抑制」、用法用量は「成人、初回240mgを皮下注。以降は1カ月間隔で120mg皮下注」となっている。

 一次性頭痛の代表格である片頭痛は、片側性で拍動性の中等度から重度の頭痛発作が繰り返し生じ、その発作は4~72時間にわたり継続する。頭痛のほかに悪心、嘔吐、光過敏および音過敏を伴うことが多く、日常的な動作で頭痛が増悪するため、生活に大きな支障を来すといわれている。日本における片頭痛有病率は8.4%、男女比(女/男)は約3.6であり、男女とも20~50歳代の勤労世代に多く見られる。

 片頭痛の治療は、頭痛症状を軽減・消失させる急性期治療と、片頭痛発作を抑制する予防療法に大別される。急性期治療では、片頭痛発作を確実に消失させ、通常の日常生活を維持させることが急務となり、薬物療法が中心となっている。重症度によって薬物を選択するが、主にアセトアミノフェンや非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)、スマトリプタン(イミグラン他)などのセロトニン受容体(5-HT1B/1D)作動薬であるトリプタン系薬が使用されている。一方、頻繁に片頭痛発作が起こるなど、発作時の急性期治療だけでは不十分な場合には予防療法が選択され、バルプロ酸ナトリウム(デパケン他)などの抗てんかん薬、プロプラノロール(インデラル他)などのβ遮断薬、アミトリプチリン(トリプタノール他)などの抗うつ薬が使用されている。

 片頭痛の病態生理はいまだ確定的な機序は解明されておらず、従来から血管説、神経説および三叉神経血管説が病態仮説として提唱されてきた。一方、研究は進んでおり、現在は三叉神経血管系、脳幹部の下行性疼痛制御系および各種神経ペプチドが片頭痛の疼痛に重要な役割を果たしていると考えられている。特に、三叉神経終末から放出されている神経ペプチドであるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP;calcitonin gene-related peptide)が発作の疼痛に密接に関与している可能性が示唆されている。このCGRPは、血管拡張因子であり、多くの炎症メディエーターの産生および分泌の促進、炎症組織の充血、浮腫および疼痛を引き起こすことが確認されている。

 ガルカネズマブは、CGRPに特異的に結合し、生理活性を阻害することで片頭痛発作を抑制する、国内初となるヒト化抗CGRPモノクローナル抗体である。

 国内外の臨床試験から本薬の有効性および安全性が検証された。海外では、2020年7月現在、「片頭痛の予防」の適応で欧米を中心に世界40カ国以上で承認されている。

 副作用として、注射部位反応(14.9%、紅斑、そう痒感、内出血、腫脹など)、注射部位疼痛(10.1%)などが報告されている。重大な副作用として、アナフィラキシー、血管浮腫、蕁麻疹などの重篤な過敏症反応を生じる可能性もある。

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