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【新薬】ソマプシタン(ソグルーヤ)
週1回投与の長時間作動型成長ホルモン製剤

2021/03/05
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2021年1月22日、長時間作用型ヒト成長ホルモンアナログ製剤ソマプシタン(商品名ソグルーヤ皮下注5mg、同皮下注10mg)の製造販売が承認された。適応は「成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)」、用法用量は「通常、週1回1.5mgを開始用量として皮下注射。なお、開始用量は患者の状態に応じて適宜増減する。その後、患者の臨床症状および血清インスリン様成長因子-1(IGF-1)濃度などの検査所見に応じて適宜増減するが、最高用量は8.0mgとする」となっている。

 成長ホルモン(GH)は、下垂体前葉から分泌されて、骨の伸長や筋肉の成長、肝臓や筋肉、脂肪などでの代謝を促進する。成人成長ホルモン分泌不全症(AGHD)は、成人においてGHの分泌が不足する疾患で、発症時期により成長障害を伴う小児期発症と成人期発症に分けられる。AGHDは様々な臓器系に影響を与え、多因子性の複数の疾患を伴う慢性疾患である。症状として、腹腔内および内臓脂肪型肥満の増加、除脂肪体重、筋肉量および筋力の低下をはじめとする体組成の異常、脂質プロファイルの異常、QOLの低下を伴う。

 重症AGHD患者に対してはGH補充療法が行われており、主に体組成異常を正常化してAGHDの病態の多くを改善することが認められている。一方、GH補充療法は、数年または生涯にわたり投与を要することも多く、従来のGH製剤(ソマトロピン[ジェノトロピン他])が主に1日1回の皮下注投与であることから、毎日の治療に負担を感じる患者も少なくないことが課題となっていた。さらに、AGHD患者では複数のホルモン分泌不全を併発している場合も多く、他の補充療法も実施する必要があった。

 ソマプシタンは週1回投与の長時間作用型ヒトGHアナログ製剤である。単一置換を含むアミノ酸骨格にアルブミン結合部位(側鎖)が接合しており、内因性アルブミンとの可逆的な非共有結合によりソマプシタンの消失が遅延することで、作用持続時間の延長が可能となった。また、本薬は1.5mLカートリッジに入った溶解操作が不要なリキッドタイプ製剤で、複数回投与可能な使い捨てプレフィルドペン型注入器に装填された製剤となっている。

 GH製剤で未治療の重症AGHD患者(日本人患者を含む)を対象とした国際共同第3相試験、GH製剤で治療中の重症AGHD患者を対象とした国内第3相試験において、プラセボまたはノルディトロピンを対照とした試験結果から本薬の有効性(ノルディトロピンとの非劣性を含む)と安全性が検証された。

 副作用としては、頭痛、浮動性めまい、感覚鈍麻、関節痛、疲労、末梢性浮腫、体重増加、血中クレアチンホスホキナーゼ増加(各1%以上)などが認められている。重大な副作用としては、甲状腺機能亢進症、糖尿病を生じる可能性もある。

 薬剤使用に関しては以下の事項について十分留意しておく必要がある。
・GHに細胞増殖作用があることから、悪性腫瘍患者に対する使用は禁忌となっている。
・胎児の発育に影響を及ぼす可能性があることから、妊婦に対する使用は禁忌となっている。
・用法用量に関して、「開始用量は、年齢、性別、合併症などの患者の状態に応じて適宜増減すること。通常は、1.5mgから投与を開始するが、60歳超の患者では1.0mg、経口エストロゲン服用中の女性患者では2.0mgを目安に投与を開始すること。中等度の肝機能障害患者では、低用量から投与を開始するなど、慎重に投与すること」と添付文書に記載されている。

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