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【新薬】アカラブルチニブ(カルケンス)
再発・難治性の慢性リンパ性白血病に新たなBTK阻害薬が登場

2021/02/26
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2021年1月22日、抗悪性腫瘍薬アカラブルチニブ(商品名カルケンスカプセル100mg)の製造販売が承認された。適応は「再発または難治性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」。用法用量は「成人に1回100mgを1日2回経口投与。なお、患者の状態により適宜減量」となっている。

 慢性リンパ性白血病(CLL)は、日本ではまれなB細胞性の腫瘍であり、単一な小型円形から軽度の異型を持つリンパ球が血液中で過度に増加する。慢性リンパ性白血病細胞の表面にはCD5やCD23といった表面抗原が認められるのが一般的である。なお、小リンパ球性リンパ腫(SLL)は、末梢血や骨髄への浸潤がないCLLと同一の細胞の腫瘍と定義されている。

 日本におけるCLLにおける薬物治療は、フルダラビン(フルダラ)とシクロホスファミド(エンドキサン)にリツキシマブ(リツキサン他)を併用するFCR療法が標準治療である。近年、再発または難治性のCLLに対して、CD20を標的とする分子標的治療薬オファツムマブ(アーゼラ)、CD52を標的とする分子標的治療薬アレムツズマブ(マブキャンパス)、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬イブルチニブ(イムブルビカ)、アポトーシス抑制蛋白質であるB細胞性リンパ腫-2(BCL-2)に高い親和性を有するBCL-2阻害薬ベネトクラクス(ベネクレクスタ)などが臨床使用されている。これら、分子標的治療薬の使用によりCLL治療は飛躍的に向上してきている。一方で、CLLは薬物療法では治癒が難しく、再発することの多い難治性の血液腫瘍であること、海外に比べてCLLに適応を有する薬剤が少なく治療選択肢が限られていること、再発または難治性のCLLに対する標準的な治療法が確立していないこと──などが課題となっている。

 アカラブルチニブは、既存のイブルチニブと同じ作用機序を有するBTK阻害薬である。SLLを含めたCLLなどの多くのB細胞性腫瘍の発症、増殖および進展には、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達経路の活性化が関与している。このBCR経路のシグナル伝達に関与しているBTKを選択的に阻害するのがアカラブルチニブである。具体的には、BTKの活性部位のシステイン残基と共有結合して、BTKのキナーゼ活性を持続的に阻害する。

 再発または難治性のCLL患者を対象として、idelalisib(国内未承認)とリツキシマブの併用療法またはベンダムスチン(トレアキシン)とリツキシマブの併用療法と本薬を比較する海外第3相試験(ASCEND試験、非盲検無作為化試験)が実施された。この海外第3相試験と、再発または難治性CLL患者およびSLL患者を対象とした国内第1相試験(D8220C00001試験)において、本薬の有効性および安全性が確認された。海外では、2020年11月現在、欧米などで承認されている。

 副作用として、頭痛(10%以上)、下痢、挫傷、疲労(各10%未満5%以上)などが認められている。重大な副作用として、肺炎(4.9%)などの感染症、好中球減少症(17.2%)・貧血(6.7%)などの骨髄抑制、心房細動(1.8%)などの不整脈、急性冠動脈症候群(0.6%)などの虚血性心疾患、腫瘍崩壊症候群(0.6%)が報告されており、頭蓋内血腫などの出血、間質性肺疾患を生じる可能性もある。

 薬剤使用に関しては以下の事項について十分留意しておく必要がある。
・血液毒性(重大な出血を伴うGrade3の血小板減少症、Grade4の血小板減少症、または7日以上持続するGrade4の好中球減少症)、またはGrade3以上の非血液毒性が発現した場合は、Grade1またはベースラインに回復するまで本剤を休薬すること。
・血液毒性または非血液毒性の回数に応じて回復後の再開時投与量を調節する目安が、添付文書に記載されているので参考にすること。

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