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【新薬】モリデュスタット(マスーレッド)
腎性貧血治療薬HIF-PH阻害薬に5剤目登場

2021/02/05
北村 正樹(東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部)

 2021年1月22日、腎性貧血治療薬モリデュスタットナトリウム(商品名マスーレッド錠5mg、同錠12.5mg、同錠25mg、同錠50mg、同錠75mg)の製造販売が承認された。適応は「腎性貧血」、用法用量は「保存期慢性腎臓病患者:赤血球造血刺激因子(ESA)製剤で未治療の場合は1回25mg、ESA製剤から切り替える場合は1回25mgまたは50mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与。透析患者:1回75mgを開始用量とし、1日1回食後に経口投与。いずれの患者においても、開始用量以降は患者の状態により適宜増減するが、最高用量は1回200mgまで」となっている。

 腎性貧血は、慢性腎臓病(CKD)の早期から認められる代表的な合併症であり、腎での内因性エリスロポエチン(EPO)産生が低下し、栄養低下、鉄欠乏、出血傾向、赤血球寿命短縮などと相まって引き起こされる。腎性貧血は末期腎不全への病態進行を早め、また心不全の独立した増悪因子であることから、早期発見・治療による生命予後の改善が期待されている。

 従来、腎性貧血の治療としてはエポエチン アルファ(エスポー他)、ダルベポエチン アルファ(ネスプ他)などのESA製剤が中心的治療薬として使用されていた。しかし、注射薬であるため感染症リスクや患者の身体的負担が大きく、さらにESAによる抗EPO抗体陽性赤芽球癆が発現することが問題となっていた。

 近年、腎性貧血の治療薬として低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬が使用されている。HIF-PH阻害薬は、低酸素誘導因子(HIF)の調節酵素であるHIF-PHを阻害することで、転写因子であるHIF-αの分解を抑制してHIF-αを蓄積させ、HIF経路を活性化させる。その結果、生体が低酸素状態に曝露された際に生じる赤血球造血反応と同様に、正常酸素状態でも赤血球造血が刺激され、貧血が改善すると考えられている。既存のHIF-PH阻害薬として、ロキサデュスタット(エベレンゾ)、ダプロデュスタット(ダーブロック)、バダデュスタット(バフセオ)、エナロデュスタット(エナロイ)──の4剤が臨床使用されており、モリデュスタットは5剤目となる。

 5つの国内第3相試験で本薬の有効性および安全性が確認された。なお、これらの国内第3相試験のうち、保存期CKD患者(ESA製剤で未治療)、保存期CKD患者(ESA製剤からの切り替え)、血液透析患者(ESA製剤からの切り替え)を対象とした3つの試験では、ダルベポエチン アルファに対する非劣性を検証した。

 承認時までの臨床試験から、副作用(臨床検査値異常を含む)として、鉄欠乏(1%以上)などが認められ、重大な副作用としては、脳梗塞(0.3%)などの血栓塞栓症(0.3%)、間質性肺疾患(0.5%)が報告されている。

 薬剤使用に際しては、日本腎臓学会から「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation(2020年9月29日版)」が公表されているので事前に熟読するとともに、特に下記の事項に留意する。
・保存期CKD患者でESA製剤から切り替える場合の開始用量、投与量調節について、添付文書に具体的な記載があるので確認する必要がある。
・既存の薬剤と同様にESA未治療の場合の本薬投与開始の目安は、保存期CKD患者および腹膜透析患者ではヘモグロビン(Hb)濃度で11g/dL未満、血液透析患者ではHb濃度10g/dL未満とする。

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